相次ぐ台風、影響長引く 与論島 物流や観光、漁業に打撃
台風13、14号が鹿児島県奄美地方へ相次いで襲来し、与論島では物流や観光、漁業などへの影響が長期化している。台風14号の接近に伴い、風速15メートル以上の強風域に入った18日、与論町内のスーパーでは品薄状態が見られ、宿泊施設などでは予約のキャンセルが相次いだ。漁にも出られず、水揚げは11日ごろからほぼゼロ。経済活動に大きな打撃を与えている。 与論町茶花のAコープよろん店では13日から仕入れが途絶え、生鮮食品や乳製品の棚はガラガラに。買い物に訪れていた女性(65)=同町那間=は「野菜がなくて困る。もらい物や冷凍食品でなんとかしのいでいる」と不安をのぞかせた。 次の入荷は早くても21日。店舗を運営するあまみ農協与論事業本部の林浩太郎生活課長(55)は「在庫があるもので対応するしかない」と話した。
与論町漁協(鬼塚直俊組合長、正組合員59人)によると、島内では11日ごろから漁がストップ。再開するのは早くても20日ごろになるという。昨年9月の水揚げ量は約31トンだが、箕作(きさく)広光参事(62)は「今年は去年の6割ぐらいかも」と読む。「台風の強さに関わらず、海にはすぐに影響がでる。ダブルで来るとやっぱり厳しい。最後の一週間ちょっとで挽回できるといいが」 海や空の便の欠航による観光業へのダメージも大きい。同町立長のプリシアリゾートヨロンでは、稼働率が想定の50%ほどにとどまり、今週末まで影響が続く見込み。藤原健二運営統括部長(51)は「宿泊キャンセルに伴い、(同社が運営する)レストランやショップ、マリンアクティビティなども打撃を受ける」と懸念した。 車両約40台を所有する同町立長のコロレンタカーでは、18日時点で15台ほどのキャンセルが出た。一方、台風により旅程が長引いた観光客らがレンタルを延長するケースも。浦口望社長(46)は「延長があってもマイナス。台風の影響で経営は厳しい」と吐露した。 ヨロン島観光協会の町岡安博事務局長(59)は「今年は入り込み客数が8月から順調に増加していたが、9月はかなり減少するだろう。観光産業が盛んな与論では、台風による経済への大きな影響が避けられない」と語った。