タワマンが「出せば売れる」状態はいつまで続くのか…不動産ジャーナリスト「タワマンこそが『成功の証』というのは幻想だ」
タワマンが「出せば売れる」状態はいつまで続くのか
最近、テレビの情報番組に呼ばれると、必ずタワマンに関するコメントを求められる。メジャーな週刊誌がタワマンの大特集を組むというので、ネタ元として引っ張り出される。1年半ほど前には、あるネットテレビ局が「湾岸タワマンの肯定派VS.否定派」のディベートをやるからと、否定派側の「論客」として駆り出された。ことほど左様、今は「タワマン」というテーマがホットになっているということか。 ただ、現実のマーケットでは依然としてタワマンブームが続いている。新築のタワマンは、ほぼ「出せば売れる」状態。中古市場でも、取引は活発である。東京の湾岸エリアなど、タワマンの林立地域での流通市場はかなり成熟している。つまり、取引量がある程度のボリュームに達しているので、市場価格の形成がよりナチュラルな状況である。ただし、安定感にはいささか欠ける。 特に中央区の湾岸エリア、具体的には選手村跡地の大規模マンションが供給された晴海や、そこに隣接する勝どき、月島といったエリアは短期間に大量の供給があった割には、堅実な中古への実需要が伴っていないので、市場価格の形成に不安定さが目立つ。同エリアには大量の賃貸募集住戸が存在することも、この中古タワマンの流通市場に深い影を落としている。 不安定な市場は、何かのキッカケに暴落へとつながる可能性がある。マンションの価格も、基本的には「需要と供給」の法則に従って決まる。供給量が需要に勝れば、価格は下落するのが基本である。
タワマンこそが「成功の証」という幻想
ところが、マンション市場の場合は、その他にも様々な要因が絡んでくる。その中で最も大きなものは、人間の「心」である。「住まい」というものは、人が生きる上で必要不可欠。いい住宅に住めば、誰もが幸せな気分になれる。しかし、衣食住の中ではもっとも高価である。だからこそ、多くの人は住まいに対して「住む」という実用以上の意味を見出し、幻想を抱いてしまう。 東京では今、年収の6~7倍程度の住宅ローンを組んでマンションを購入するのが一般的だ。つまり、生涯収入の5分の1程度のお金をマンション購入に費やすのである。どこに住むか、どんなマンションを買うのかは、その人のステイタスを象徴する……と考える人は少なくない。高価で見栄えのいい住まいを得ることは人生の成功の証だ、という発想だ。 タワマンは、こういったいかにも一般的で俗物的な価値観を持った方にとっては、まさにひとつの到達点と言える。特に、大学入学もしくは就職時点で東京(およびその周辺)に移住してきたニューカマーにとって、タワマンこそが「成功の証」なのである。 彼らは東京という街に地縁がない。ある意味、既成概念や偏見を持たないのだ。勝どきや晴海、あるいは有明といったいわゆる湾岸エリアが呈していた半世紀前の無残な姿を知らない。また、いまや内陸部のタワマン林立地帯である神奈川県川崎市の武蔵小杉あたりの30年前の様子を知らない。
榊淳司
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