大島紬の魅力伝える 奄美ツアーでトークイベント 後継者不足などの課題も紹介
京都の染織ブランド「アトリエシムラ」代表取締役の志村昌司さん(52)と本場奄美大島紬協同組合理事長で都成織物(鹿児島県奄美市名瀬)取締役専務の黒田康則さん(45)のトークイベントが6月30日、奄美市笠利町の県奄美パークであった。アトリエシムラが主催する奄美大島ツアーの一環で、全国から22人が参加。京都の染織業界に携わる昌司さんの視点から本場奄美大島紬について質問があり、黒田さんが歴史や現状を説明した。 アトリエシムラは重要無形文化財保持者(人間国宝)の染織家、志村ふくみさんと、娘の洋子さんの芸術精神を継承する染織ブランドとして孫の昌司さんが2016年に設立。トークイベントは瀬戸内町出身の中島英世さん(26)が、ふくみさん母子が創設した京都の芸術学校「アルスシムラ」で働いている縁で実現した。 昌司さんは黒田さんに織元の仕事や本場奄美大島紬の歴史、業界の課題や未来などについて幅広く質問。「産地としての課題はやはり後継者不足。業界全体で育てていき、大島紬に携わる若い子たち、特に織り技術者の賃金がほかの職業と同列になるようにしたい」と黒田さん。「守るべき規定は守り、変えられる部分は時代に合わせて変えていく。課題を一つ一つ解決していくことで上向いていく」と展望を述べた。 東京都から参加した溝渕順子さん(64)は「白大島と泥大島を持っており、奄美には前から興味があった。黒田さんの話を聞いて業界に新しい風が吹いていると感じた。大島紬の工程をさらに知りたくなったので、また来島したい」と話した。 ツアーは6月28日から2泊3日で開催され、一行は奄美市笠利町の大島紬織工養成所や龍郷町の泥染め工房など染織にまつわる場所を巡った。