ホーチミンに日本が支援した初の地下鉄が開通「ベトナム政府と日本政府の協力関係を示すものだ」
12月22日、ベトナムの最大都市ホーチミンで、初めて地下鉄が開業した。建設期間は12年にも渡り、待ち侘びていた市民が駅で長蛇の列をなした。 新幹線に魅了された英国人記者が、北陸新幹線で長野へ行くまでに考えたこと
バイクの街ホーチミン、待望の地下鉄
カタールメディア「アルジャジーラ」によると、地下鉄を開くにあたって必要な商業資本をベトナムが集めるまで、およそ17年かかった。 「日本政府の融資で主に賄われている」というこのプロジェクトは2007年に初めて承認され、費用は当初、6億6800万ドルと予定されていたという。2012年に建設が始まったとき、当局は「5年以内に路線が開通する」ことを予定していた。 だが「建設が長引くにつれ、人口900万人の都市では車やバイクが増加し、大都市は極度の混雑に陥り、汚染が進み、移動に時間がかかるように」なった。ホーチミンではバイク移動が主流だが、ブイ・スアン・クオン副市長は、地下鉄が「高まる移動手段のニーズを満たし、交通渋滞や環境汚染の軽減に貢献するだろう」と語っている。 スリランカメディア「エコノミー・ネクスト」はまた、このプロジェクトは「市政府の粘り強い努力の証であるだけでなく、ベトナム政府と日本政府の効果的な協力関係を示すものでもある」とクオンが語ったことも報じている。 市内中心部から20キロ近く走る地下鉄の総工費は、最終的に約17億ドルかかった。
ベトナムを走る「明るいトンネル」
ベトナム紙「ベトナム・プラス」によると、最初の30日間は無料で運行される地下鉄に大勢の市民が押し寄せた。12月22日の運行開始から3日で、当初予想されていた10万5000人を大きく上回る約27万9000人が乗車した。 現地を取材したアルジャジーラは「各駅に長蛇の列ができ、伝統衣装であるアオザイを着た女性や制服姿の兵士、幼い子供を抱きしめたカップルらが、興奮した様子で乗車を待っていた」と報じている。 「(建設が)遅れていたことはわかっていますが、それでもこの地下鉄に最初に乗れたことはとても光栄で、誇りに思います」と、満員電車の中でセルフィーを撮った女性はアルジャジーラに語った。「私たちの街はいまや、世界の他の大都市と同じレベルに達しています」 現在84歳の退役軍人である男性は、AFP通信のインタビューに答えている。ホーチミンにいまも残っている巨大な地下ネットワーク、クチトンネルに身を潜めながら米軍と戦った経験のある彼は、前向きな形で地下の世界を経験できて嬉しいと語った。 市民の生活を支えるべく地下に作られた列車に乗り、彼は次のように話している。 「何年も昔、戦争中に経験した地下生活とはまったく違う感じがします。ここはとても明るくて気持ちがいい」
COURRiER Japon