第94回選抜高校野球 伝統の2校に春 広陵/広島商(その2止) /広島
<センバツ2022> ◆広陵 ◇全国舞台で猛打発揮 秋季県大会3位通過から臨んだ中国地区大会では、4試合で34安打23得点と勝負強さを発揮し優勝。明治神宮野球大会では、全国の強豪校相手に粘りの猛攻で準優勝に輝いた。 公式戦14試合のチーム打率は3割4分1厘。上位打線を担うのは、長打力が強みで打率4割4分4厘の真鍋慧(けいた)選手(1年)、高い出塁率を誇る先頭打者の中川将心(まさむね)選手(2年)、9二塁打、3本塁打を放ち、左腕投手としての実力も兼ね備える内海優太選手(2年)だ。 投手陣は厚い。右腕エースの森山陽一朗投手(2年)は181センチの長身から繰り出す直球に自信があり、スライダーやスプリットなどの変化球も交える。さらに146キロの速球で打者を圧倒する松林幸紀投手(2年)、球威と伸びのある直球が持ち味の岡山勇斗投手(1年)を擁する。 男女マネジャー含む部員は99人。「一人一役全員主役」のスローガンの下、川瀬虎太朗主将(2年)は「ベンチや控えなど関係なしに、全員が同じラインに立って高め合っている」と話す。30年以上、野球部を育ててきた中井哲之監督は「どんな戦いにも対応できるよう総合力を高める。最後まで粘り強く戦い、気迫を感じるチームにしたい」と意気込む。 ◆学校プロフィル ◇OBに金本知憲さんら 1896年に設立された私立高校で、1998年に男子校から男女共学化。「質実剛健」の校訓の下、情報通信技術(ICT)への対応力や国際感覚の育成に熱を入れ、幅広い分野で社会に貢献する人材を送り出す。 野球部は1911年に創部。甲子園は過去に春夏通算47回出場。春は3回全国制覇し、うち2回は中井哲之監督が導いた。OBにプロ野球・阪神の金本知憲前監督、広島の野村祐輔、オリックスの福田周平、DeNAの佐野恵太各選手らがいる。 柔道部や体操競技部、ボクシング部などの活動も盛ん。4日時点の生徒数は1296人(男子825人、女子471人)。安佐南区伴東3の14の1(082・848・1321)。 ……………………………………………………………………………………………………… ◆広島商 ◇逆境を覆す勝負強さ 「上手(うま)い選手より、強い選手」をキーワードに練習に取り組んできた選手たちは、リードを許しても中盤以降に逆転する粘りを随所で発揮。秋の県大会を24年ぶりに制すると、勢いそのままに中国地区大会でも決勝まで駆け上がった。 センバツへの切符をたぐり寄せた原動力は、秋の公式戦11試合で1試合平均8点をたたき出した打線だ。中国地区大会準決勝・倉敷工戦では3点を追う八回に打者一巡の猛攻で一挙7点を奪い逆転するなど、苦しい展開をはね返す勝負強さが光った。3番を打つ植松幹太主将(2年)は「諦めない強い気持ちを全員が持っている。甲子園でも同じ姿勢を見せたい」と自信をのぞかせる。 打線以上に、大きな伸びしろがあるのが投手陣。中国地区大会の3試合で先発した浴口光介投手(2年)をはじめ、神野智投手(2年)ら秋の公式戦では計8人が登板。甲子園のマウンドを巡る競争は激しさを増しており、春に向けて大きな飛躍が期待できそうだ。 春夏で全国制覇7回の名門。荒谷忠勝監督(45)は「甲子園に出るだけではいけないのが広商の宿命。勝ちに行く」と意気込む。 ◆学校プロフィル ◇プロ選手多数輩出 1899年に広島商業学校として創立。通称は「広商(ひろしょう)」。現在は商業科や会計科など4学科があり、2022年度から情報ビジネス科のみの単一学科へ移行する。校訓は「誠実進取」で、真心を持って進んでチャレンジする人材を育成している。 野球部は学校創立と同じ年に創部。センバツは戦前の1931年に全国制覇。夏の甲子園も6回の優勝を数える。プロ野球選手も多数輩出し、OBに地元広島で活躍した大下剛史さん、故三村敏之さん、達川光男さん、ソフトバンクの柳田悠岐外野手らがいる。 生徒数は933人(21年4月時点)。卓球部や書道部も全国レベルで活躍している。中区舟入南6の7の11(082・231・9315)。