NTT、オープンイヤー向け“広帯域”ノイズキャンセリング技術
NTTは、耳を塞がないオープンイヤー型ヘッドフォンにおいて、周囲の騒音を耳元で低減する広帯域のANC(Active Noise Control、能動騒音制御)技術を確立したと発表した。 【この記事に関する別の画像を見る】 今回開発されたANC技術では、ヘッドフォン本体のマイク・スピーカーの設計とソフトウェア処理が新たに開発された。オープンイヤー型ヘッドフォン向けの実用的なノイズキャンセリング技術として、高音域を含む広帯域での騒音抑圧を実現する。 従来のオープンイヤー型ヘッドフォンのノイズキャンセリング機能では難しかった、1,000Hz以上の音も低減できる技術を確立。周囲の音を自然に感じながら、騒音を低減することで、オープンイヤー型ヘッドフォンからの再生音がクリアに聞こえるようになるのが特徴。 また、ヘッドフォンから聴こえるバーチャルの音と直接耳で聴くリアルの音を融合させて聴く、「音響XR技術」の利用範囲が拡大することが期待されるとしている。 技術的には、音響的遅延と機械的遅延という2つの要素を減らす技術が開発された。騒音を捉える参照マイクの配置で新たな設計を確立したほか、打ち消し音を再生するスピーカーの位置や特性も新たに設計し、ソフトウェアと組み合わせることで、打ち消し音を周囲に漏らさず、ユーザーの周囲で騒音が増えることも防ぐとしている。 これにより、オープンイヤー型ヘッドフォンにおけるANCの広帯域化を、世界で初めて実現した。飛行機内の騒音で評価したところ、1,000~3,000Hzで最大13.7dB、平均7.8dBの騒音抑圧を実現したという。 本技術を利用したオープンイヤー型ヘッドフォンは、11月25日~29日に開催される「NTT R&D FORUM 2024 -IOWN INTEGRAL」に展示される予定。
Impress Watch,太田 亮三