<変わるセンバツ>/1 練習中もマスク備え
19日に開幕する第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)では、徹底した新型コロナウイルス感染症対策に加え、2020年春から導入された「1週間500球以内」の投球数制限が適用される。20年大会は感染拡大により史上初の中止。2年ぶりの開催を前に、これまでの大会とは異なる「変わるセンバツ」を探った。 ポケットにしまっていたマスクを取り出し、市和歌山の選手たちが次々と打撃練習へと向かっていく。松川虎生主将(2年)は「息がしづらくて違和感はあったが、今は新型コロナウイルス感染を防ぐことが最も大切」と話す。全員でのランニング時や打撃マシンにボール入れをする部員も、マスクを着けることが日常になってきた。 今大会ではグラウンドでプレーする選手やベースコーチを除きベンチの監督や選手にはマスク着用が求められている。6日に解禁された練習試合でも、バットの片付けや攻守交代の際のグラブ渡しを担当した市和歌山の控え選手はマスクを着用。半田真一監督(40)は「意識付けが大切」と説く。 部室の利用は道具を置くのみとし、着替えは外で行うように徹底した。ノックなどの激しい動きや紅白戦の際にはマスクなしでプレーするが、全員でのランニングの際も声出しを極力、控えるようにした。慣れないことばかりだが、感染症対策を少しでも日常に組み入れようとしている。 21世紀枠で出場する具志川商(沖縄)は、これまでマネジャーが握り、選手1人あたり4~6個は口にしていた間食のおにぎりをやめた。食事トレーニングには欠かせないアイテムだったが、個人でのプロテイン摂取などに切り替えたという。同じ21世紀枠の東播磨(兵庫)は、兵庫県内の緊急事態宣言こそ1日に解除されたものの、県の指針により解禁日に練習試合を組むことができなかった。コロナ下で多くの制約が課されているのが現状だ。 その一方で、積極的に活用されているのがオンラインツールだ。21世紀枠の八戸西(青森)は無料通信アプリ「LINE」で約50ものグループを作成。選手やポジションごとに分けられたグループそれぞれにスタッフも加入。選手が動画を送ってフォームの指導を仰ぐこともあり、小川貴史監督(37)は「時間を気にせず自分の意見を言えるので、一人一人の選手と向き合えるようになった」と効果を話す。慣れない環境の中でも、逆境をプラスに変える工夫が生み出されている。【藤田健志、写真も】=つづく