筑後川1300年の歴史 鵜飼いの伝統を繋ぐ鵜匠 担い手が減少 存続危機に新たな一手も
九州北部豪雨で筑後川がズタズタに
2017年7月、朝倉市などを襲った九州北部豪雨。福岡、大分、両県で、死者、行方不明者42人を出した大災害だ。鵜飼い関連でも、鵜船が川岸に打ち上げられ壊れるなど深刻な被害を出した。筑後川にも大量の土砂が流れ込み、魚の餌であるコケも埋もれてしまった。その後も豪雨は数年おきに発生。かつてのような鵜飼いができない状態が、筑後川ではいまも続いている。 「砂が全体的に川底に詰まっているんですよ。川が浅くなっちゃって、砂が石を隠しているので魚が住めなくなっている」と話す白井さん。鵜飼いの伝統を繋いでいけなくなるかも知れない。そんな状況のなかで思いついたのが、出前の鵜飼いショーだった。度重なる水害。そして担い手の減少も重なり、危機感を募らせた臼井さんや近くにある原鶴温泉旅館協同組合が企画し、出前鵜飼いショーを実現させたという。
筑後川の川底には流木や巨石が
「いま、水位が下がっていて、鵜船が上りづらくなっているので、大きな岩、邪魔になる岩をどかして…」と本番の鵜飼を前に臼井さんは、本来の仕事場である筑後川で船が進みやすいように川底を整える作業を進めていた。1人で、黙々と力の要る仕事を1時間以上かけて続ける。筑後川の川底の流木や巨石は、取り除いておかないと鵜船を阻んでしまうのだ。 陽がすっかり暮れ、あたりに闇が迫る。岸辺にある船に明かりが灯ると、次々と客が集まって来た。「初めて見るんで、めっちゃ楽しみにしています」と客も待ちきれない様子だ。いま、鵜飼は川底が浅く小型の船しか使えないため、近くの原鶴温泉に泊まっている客限定となっている。 「家業なので、どうにかこの仕事を残していきたいっていうのが、一番ですし…。鵜飼いの楽しさを知ってほしいです。魚獲りなんで、素直に獲ったら楽しいなと思ってほしい」と話す白井さん。自然と向き合いながら鵜飼いを続けようと奮闘している。筑後川とともに育ち、度重なる災害に見舞われながらも鵜匠を続ける。そこには、伝統を繋ごうとするひたむきな姿があった。 (テレビ西日本)
テレビ西日本