《家族が認知症だと思ったら…》“どうやって病院に連れていくか”に悩む人に有効な方法を専門家が指南
誰しもにある、認知症のリスク。まだ身近に認知症患者がいないという人こそ、そのときが来るときの心構えをしておきたい。そこで、『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』(アスコム)の著者で理学療法士の川畑智さんに、家族が「認知症かも…」と思ったときの対応について聞いた。また、川畑さんが認知症の人のサポートや認知症予防のための活動を行うなかで出会った、自身が認知症を自覚した人のエピソードについても教えてもらった。 【写真】家族が認知用かな?と思ったら…病院に連れて行く有効な1つの方法を紹介
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家族が認知症かと思ったら…
最近物忘れがひどくなったなど、家族が認知症かもしれないと思ったとき、ストレートに「認知症じゃないの?」と伝えてもすんなり受け止められる人は多くないだろう。 本人に自覚がなければ、「何を言っているんだ」と怒ったり不機嫌になったりするのは想像にかたくない。また、自分の異変を感じている場合も、「もし本当に認知症だったら…」と認めることへの恐怖心で、病院に行くことをためらってしまうことも多いという。 「この『どうやって病院に連れていくか問題』は、全国をまわる講演でも、非常によく聞かれる悩みです」と川畑さん。 ◆自分の検査を理由に病院へ誘導 そんなときに川畑さんがすすめているのが、「最近、物忘れがひどい気がしてるの。1人で検査に行くのが不安だから、一緒に病院についてきてくれない?」といった具合に、自分ごととして話して、警戒されないように病院への同行を促すという方法だ。 「事前に病院に連絡を入れておけば、そこは相手もプロ、心得たものです。奥さんのニセ検査を終えたあとで、『せっかくだから、ご主人も一緒に検査をしてみましょうか』と、事前に打ち合わせたストーリーどおりにうまく運んでくれるでしょう」(川畑さん・以下同) ほかにも、「健康診断のお知らせが来て、今年は頭の健康チェックがあるのよ」といった“ウソ”もかなり有効な手段だと川畑さんはいう。 「健康診断の案内は、行政から毎年来るのが通例となっているため、義務的な感覚で、割とすんなり受け入れることができるようです」 ◆認知症も早期発見が大切 認知症は生活習慣病の1つなので、「早期発見が大切」だと川畑さん。おかしいと感じたら、気分をのせて病院に行ってもらうことが早めの対策の第一歩だ。 「MCI(軽度認知障害)」の状態を放置すると、年間10~15%が認知症に移行するといわれており、初期の段階で適切に対処をすれば、進行をゆるやかにしたり、健常な脳に戻したりできることもわかっています」 ◆脳疾患が原因の記憶障害もある また、「記憶障害=認知症」とは限りません、と川畑さん。例えば、硬膜下血腫や脳腫瘍といった脳の病気、また、老人性うつでも、記憶力は低下するからだ。 「とりわけ、脳疾患が原因なら緊急を要します。そのため『あれ、おかしいな』と感じたら、早めに病院に行って検査を受けることを、私は必ずすすめています」