「夜遊びし過ぎ」「業務中に平気で寝る人」と偏見や誤解 「特発性過眠症」患者の苦悩 SNSや小説で伝える思い
必要とする睡眠時間は、人によってさまざま。だからこそ、睡眠に関する苦悩は「生活リズムを正せばいいだけ」と片付けられやすい。「特発性過眠症」のハザキサキさん(@saki_hazaki)も、そのひとり。 【写真】人工呼吸器を付けほぼ寝たきり…「脊髄性筋萎縮症」25歳男性が始めた「ひとり暮らし」 十分な睡眠をとっても、日中に過度な眠気が生じる「特発性過眠症」との付き合い方に悩み、周囲からの心ない言葉に傷ついてきた。
高校2年生の頃に「特発性過眠症」が発症
日中に強い眠気を感じる病気として広く知られるようになってきたのが、「ナルコレプシー」という病気。だが、ナルコレプシーと特発性過眠症は症状が似ているようで違う。 例えば、特発性過眠症はナルコレプシーより中途覚醒は少ないものの、無理に起きると、酩酊状態になることがある。 ハザキさんは高校2年の頃、病気を発症。授業中や集会の時に起きていられず、電車でも立ったまま眠るようになった。 倦怠感を覚え、入眠時に金縛りにあう(睡眠麻痺)こともあり、寝ている最中には痛みや恐怖をリアルに感じる悪夢に苦しめられたという。 「睡眠発作中、眠気に抗うと、意識がはっきりしていた時の行動を無意識の状態で行う“自動症”という状態になります。ノートを取っていた場合は、途中からミミズが這うような文字になってしまいます」
「業務時間中に平気で寝る人」のイメージがついて就労が困難に…
社会人になると、寝過ごして遅刻。仕事中に立ったまま寝てしまい、叱責された。必死で眠気に抗うも、ミーティング中や会議中など、あらゆる場面で眠ってしまい、信用を失くす。 だが、会社に常駐していた看護師が過眠症に関する知識があったことから、勧められた睡眠外来を受診。21歳の時に、特発性過眠症と診断された。 「ホッとしました。自分の不摂生が原因ではなく、病気のせいで仕方がないことだったんだと。これからは、正論で戦えると思いました」 しかし、病気をカミングアウトした先に待っていたのは、周囲からの心ない言葉。「そんな都合のいい病気は聞いたことがない。寝るのが病気なら、みんな病気。くだらない言い訳をする暇があったら自己管理を徹底しろ」と取り合ってもらえず。「若いからって、夜遊びし過ぎなんじゃないのか?」とも言われた。 また、「業務時間中に平気で寝る人」という印象がついたことで信用と居場所を失い、会社を退職せざるを得ない状況にまでなったそう。 「過眠症患者は、1日の何時間も睡眠発作に奪われている。やる気以前に、何かに割ける時間そのものが少ない。周囲から評価されるには、与えられている少ない時間で健常者と同等か、それ以上の結果を出さねばなりません。しかし、それは理想論で、そう簡単にはいかないのが現状です」
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