高校生のヘルメット着用義務化進む…自転車死傷事故の多さ背景、経済負担を理由に慎重な自治体も
自治体として義務としていないものの、福岡、長崎、鹿児島各県でも、各高独自に取り組むところもある。鹿児島県教委によると、県内59校のうち、21校が4月までに着用を義務づけ、25年度までにさらに20校が続くという。
沖縄県教委「家庭の経済的負担を懸念」
義務化に慎重な姿勢を示す自治体も。佐賀県教委は「交通安全は生徒自身が主体的に考え、安全な行動を取ることが重要」と説明。ヘルメットの費用負担を踏まえ、子どもの貧困を課題とする沖縄県教委は「家庭の経済的負担が増すことが懸念される」と難しさを指摘した。
一方、費用面での負担を減らし、着用を促す自治体もある。香川県は今年度から、自転車通学する高校生を対象に5000円を上限に購入費を補助。県の担当者は「ヘルメットがないと、着用もしてもらえないため、啓発と共に進めたい」としている。
ヘルメット大手「オージーケーカブト」(大阪)が今年2~4月に行った調査では、回答した1630市区町村のうち、351市区町村が住民全体や年代を絞って自転車用ヘルメットの購入に補助制度を設けていた。
ヘルメット着用率、大分県が2位48・3%
警察庁は9月、今夏に全国の駐輪場がある駅周辺などで行われた自転車のヘルメット着用率の調査結果を公表した。
発表によると、都道府県別では愛媛県が69・3%で最多で、大分県48・3%が続いた。愛媛県は2015年から県立高生徒に通学時の着用を義務化。今年度から義務化した山口県も前年より12・7ポイント増の34・2%で大きく伸び、高校でヘルメット着用を義務づけた自治体で浸透している傾向が見られた。
愛媛県の担当者は「通学時のヘルメット着用を通して、自転車に乗るときは着用が当たり前という習慣化につながっている」としている。