ブルーバードマキシマの再解釈がスゴい!!! 学生が手がけた古くて新しい日産車に迫る
2025年1月10日から開催された「東京オートサロン2025」(千葉県・幕張メッセ)では、学生たちによるさまざまな力作が展示されていた。日産愛知自動車大学校の学生が手がけた、「ブルーバード・極」に迫る。 【写真を見る】ブルーバード・極の全貌!!!
想定ターゲットは20代のクルマ好き
面白い存在だったのが、ブルーバード極(きわみ)だ。四角いピラーレス4ドアボディに大きなブリスターフェンダーが強烈な存在感をはなっていた。 出展者は日産愛知自動車大学校。“最先端のカーエンジニアの総合学校”を謳う、日産自動車直系校だ。自動車整備・カーボディマスター科の生徒たちが2カ月半かけて仕上げた、古くて新しい車両である。 ベースになっているのは、1986年型のブルーバードマキシマ。ブルーバードをベースに6気筒エンジンを載せたモデルで、米国市場を中心に販売。2代目の登場は84年だった。 オリジナルの2代目マキシマは、当時、はっきりいってぱっとしないスタイリングだった。直線ラインを協調した車体はクリーンといえばクリーンだけれど、同じデザインテーマの6代目「サニー」(85年発売)なら許せても、マキシマが担当するプレミアムマーケットでは受け入れにくいのでは? と、思われた。 今回、「マキシマ(という車名)の由来は最上級や最上を意味するが、私たちはそれらを超える極(きわみ)という名を車に与えた」とは、日産愛知自動車大学校が用意したプレスリリースに書かれた文言。 実際、先に触れたとおり、やたらエッジーなボディや強調されたブリスターフェンダー、それに大型エアダムなど、こっちのほうが当時もファンを獲得したのでは? などと思ってしまった。 「この企画の想定ターゲットは20代のクルマ好きです。(クルマ好きが集まる)ミーティングにも参加するような人。そういう人に受け入れてもらえるクルマにしようを念頭に、学科の仲間たちと仕上げました」 22歳という担当者(日産愛知自動車大学校の生徒)は、会場で語ってくれた。 「ブルーバードマキシマの現役時代はもちろん知りません。今回新鮮だなぁ、と、思ったのは、ピラーレスハードトップのボディ形式です。前後のサイドウインドウをおろすと、すごく開放感があって、気持ちいいんだなぁ、と、思いました」 ピラーレスハードトップは、側方からの衝突における乗員保護の安全要件が厳しくなったとき、消えたボディ形式だ。以前はアメリカ車を筆頭に、メルセデス・ベンツとBMWなどドイツ車にも(たいていは2ドアだけど)存在した。 こういう“懐メロ”的なデザインもまた、若い人に好まれるんだなぁ、と、改めて思わせてくれたのが、日産愛知自動車学校が手がけたブルーバード極である。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)