箱根駅伝Stories/中大が誇るスピードスター・吉居駿恭「しっかりと駅伝に向き合っていく」
新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。 第100回箱根駅伝・中大のエントリー選手16名をチェック!
中学時代から世代トップをひた走る
箱根駅伝で28年ぶりの総合優勝を目指す中大の中で「駅伝よりもトラックが好き」と言い切る選手がいる。今季5000mで現役日本人学生最高となる13分22秒01(日本人学生歴代6位)を叩き出した吉居駿恭(2年)だ。 実業団選手の両親を持つ吉居弟の才能は幼少期から際立っていた。小さい頃から「運動会やマラソン大会は負けなかった」ようで、走るのは得意だと思っていました。 愛知・田原東部中時代は1年時に3000mで8分50秒52の中1歴代最高記録を樹立。この記録は7年経った現在でも破られていない。3年時には全中1500mを制し、3000mでも2位に入った。 その後は現在もチームメイトである兄・大和と同じ宮城・仙台育英高に進学。1年時の全国高校駅伝はアンカーを務めて優勝のフィニッシュテープに飛び込んでいる。3年時は5000mで13分56秒16、10000mは高校歴代3位の28分11秒96をマーク。全国高校駅伝は1区を区間3位と好走した。華々しい活躍に見えるが、本人はまったく納得していない。 「求めていた結果が出なかったので、もどかしい気持ちで3年間過ごしました。そのなかで3年時の11月に10000mを28分11秒96で走れたことが、唯一良い走りだったのかなと思います」 中大進学後は5000mで自己ベストを伸ばしていく。1年時は5月のゴールデンゲームズinのべおかで13分43秒22、10月の日本グランプリシリーズ新潟大会(Yogibo Athletics Challenge Cup 2023)で13分40秒26と短縮した。吉居はそんな1年目を「試行錯誤の1年でした」と振り返る。「トレーナーさんと動きを作ってきましたが、その感覚をつかめなかったんです」。 しかし、2年目は5月に13分27秒33、日本グランプリシリーズ新潟大会を日本人学生歴代6位の13分22秒01で制するなど、1年時と比べて5000mのアベレージは20秒近くも上昇。これらの要因について、1月下旬から約1カ月半、バウワーマン・トラッククラブ(BTC)の合宿に参加したことがきっかけになったという。 「BTCの合宿に参加して、米国人選手の後ろを走っているうちに、取り組んできた動きがバチッとハマった感覚がありました。特にスパイクでの動きはすごくうまくなって、小さな力でスピードが出せるようになり、疲れにくくなったと思います」