箱根駅伝Stories/中大が誇るスピードスター・吉居駿恭「しっかりと駅伝に向き合っていく」
「区間賞や区間新が目標ではない」
トラック種目でスピード感あふれる走りを見せているが、駅伝ではまだ本領を発揮していない。 1年時は出雲6区で区間4位、全日本3区で同8位、箱根4区で同5位。今季は出雲3区で区間11位、全日本1区で同3位だった。 「前回の箱根4区は長い距離への自信がなかったので、まずまずの走りができたかなと思います。ただ今季の出雲は直前までトラックをやっていたとはいえ、想像以上に走れなくて全然ダメでしたね。全日本はちゃんと走れたので良かったと思います」 来年のパリ五輪を5000mで本気で狙っている吉居はトラックに強いこだわりを持っている。普段のトラック練習では吉居大和、中野翔太ら学生駅伝で大活躍する4年生たちと一緒に練習しているが、「自分が一番強いです」と自信を持つ。 一方でロードは苦手意識があるようだ。「トラックで頑張りたいという思いが強いので、出雲と全日本はまだロードに気持ちが切り替わっていませんでした」という。しかし、全日本が終わってからは、「一度トラックのことは忘れて、しっかりと駅伝に向き合って、応援してくれる方たちに恩返ししたいと思っています」と意気込む。 今冬はトラックレースを封印。箱根駅伝に懸けている。希望区間は1区。「先頭と10秒差以内で渡したい」という目標を掲げる。 1区は兄・大和が区間記録(1時間0分40秒/21.3km)を持つ区間。「駅伝に関しては、区間賞や区間新記録が目標というわけではありません。ただチームが総合優勝を目指して本気でやっているので、監督に与えられた役割をしっかり果たしたい」と冷静だ。 「大学生のうちに世界大会に出たい」という熱い思いを持つ二十歳のスピードスター。トラックのスピードが爆発したとき、中大として28年ぶりの歓喜が現実のものになるかもしれない。 よしい・しゅんすけ/2003年4月8日生まれ。愛知県田原市出身。愛知・田原東部中→宮城・仙台育英高。5000m13分22秒01、10000m28分06秒27、ハーフ1時間6分59秒
酒井政人/月刊陸上競技