厚生年金保険料は労使折半?!「ねんきん定期便」に企業負担分は反映されていないが…?
ねんきん定期便に企業負担の年金保険料が反映されていないのはなぜ?
自分の誕生月に送られてくるねんきん定期便には、公的年金に関するさまざまな情報が掲載されています。厚生年金保険料についても、これまでいくら支払ってきたのかが確認可能です。 しかし、確認できる厚生年金保険料は自分が負担した分のみです。企業が負担した分については、認できません。なぜねんきん定期便には企業負担分の年金保険料が反映されていないのでしょうか。 これは「毎月給料からいくら保険料が引かれているかを確かめてもらうため」とされています。 ねんきん定期便は、あくまで自分が納めた保険料を確認できる書類であり、企業が負担している厚生年金保険料については記載していません。 厚生年金保険料は会社と折半して納めるため、会社負担分も含めた保険料をこれまでいくら払ってきたのか知りたい場合は、数字を2倍にすれば簡単に確認できます。 では、次章では厚生年金保険料の企業負担分の使途について見ていきましょう。
企業が負担した分の厚生年金保険料は何に使われている?
ねんきん定期便には企業が負担した厚生年金保険料に関する記載はありません。「企業負担分はどこかへ消えてしまった?」「企業負担分の保険料が何に使われているのかわからない」と疑問を持つ人も多いでしょう。 企業負担分の厚生年金保険料は、自分が負担する保険料と同じように「厚生年金勘定」と呼ばれる厚生年金給付などに使うお金としてプールされています。そして、厚生年金の受給権を得た人に対して、確実に支給されています。 一方で、気になるのが基礎年金の財源です。厚生年金勘定は、基礎年金に一部のお金を拠出しています。基礎年金拠出金は基礎年金勘定にプールされ、基礎年金の受給権がある人全員に対して給付されています。 基礎年金勘定は国民年金勘定と厚生年金勘定から拠出されているお金です。拠出された分は区別せずにすべて同じ基礎年金の給付財源として扱うため、拠出時点で国民年金保険料と厚生年金保険料が入り混じってしまいます。 よって、自分が納めた厚生年金保険料が、厚生年金に加入していない人の基礎年金の給付財源として使われているように見えてしまうのです。 実際には、基礎年金勘定への拠出は、国民年金受給者の第1号被保険者、厚生年金を受給する第2号被保険者とその人に扶養される第3号被保険者の人数に合わせて調整されています。 しかし、制度の仕組み上、保険料が勝手に使われているように感じてしまうのです。 「国民年金」と「厚生年金+基礎年金」とで勘定管理を分けて考えるなど、財政方式がよりシンプルになれば、企業負担分の保険料に関する不安や不満は多少改善されるのではないでしょうか。