「難易度高い」チェコの万博パビリオン着工 受注側は「熱意を感じ、清水の舞台から飛び降りるつもりで」 建設業者が決まらない国には独自パビリオン「断念」呼びかけも 【大阪・関西万博は「間に合うのか」】
■チェコのパビリオンが着工 アートガラスを使った「難しい建築」に挑戦
5月15日、大阪・関西万博の会場となる夢洲で、チェコ共和国のパビリオン着工を前に「地鎮祭」が行われた。 ■【動画で見る】申請1番乗り「チェコ」パビリオン ようやく着工 独創的なデザインに建築許可まで8カ月 大阪・関西万博
チェコは、「タイプA」と呼ばれる参加国が独自で設計・建設するパビリオンを出展する。 自国の伝統的なアートガラスで覆われた、らせん構造のパビリオンを計画している。政府代表のオンドジェイ・ソシュカ氏は「専門的な技術が必要で、万博のパビリオンの中で最も難しい建築物なのではないか」と話す。
■「タイプA」は英語や現地語での入念な打ち合わせが必要
このように「タイプA」のパビリオンは、各国が個性を表現しようと独創的な外観のものが多い。そのこだわりを形にするには、建設業者との英語もしくは現地語での入念な打ち合わせや緻密なスケジュール調整が必要だ。 建設業者にとっては受注のハードルが高く、これが現在も「タイプA」出展国53か国のうち、14か国の建設業者が決まっていない大きな要因になっている。
■「せっかくなら携わりたい」という思いも
一方で、地元・大阪の建設業者からは「歴史に残る大阪で2度目の万博、せっかくなら携わりたい」という声も少なからず聞かれる。 チェコパビリオンを担当することになった、大末建設もその思いは同じだ。大末建設では、万博の案件を受注しようと3年ほど前に、社内に「万博担当チーム」を立ち上げた。
大末建設は当初、海外パビリオンについては大手ゼネコンとのジョイントベンチャー(JV)で受注できないか機会を探っていたという。 ただ、今回の万博では大手のゼネコンは大屋根や会場建設などを受注しており、海外パビリオンには手が回らない状態になっている。 大手ゼネコンとのJVは断念したものの、自社だけで請け負える国がないか9か国ほどと接触した。その結果、チェコが有力候補に挙がり、去年の11月ごろから交渉をスタート。先月ようやく契約に至った。
■チェコから職人も来る 熱意を感じ「清水の舞台から飛び降りるつもりで」
しかしなぜ、あえて建築物としての難易度の高いチェコパビリオンだったのか。
受注に至った背景について大末建設の村尾和則社長はこう話す。 【大末建設・村尾社長】「今から日本で設計して、資材を発注してパビリオンを作るとなると到底間に合わない。しかし、今回打ち合わせを続ける中で、ガラスや木材などの資材をチェコから運び、職人もチェコから来てもらえるということになった。工期が短く難易度が高い建築物だが、チェコからの熱意を感じたので、清水の舞台から飛び降りるつもりで、何としてでも間に合わせる」
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