【毎日書評】なぜ醤油や味噌「発酵食品」からチームワークが学べるのか?
「発酵」が日本の伝統的な食文化のひとつであるとわかっていても、その詳細については「わかるようでわからない」という方も少なくないはず。 しかし『ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵』(村井裕一郎 著、あさ出版)の著者によれば、いま世界中で発酵について学び始める人が増えているのだとか。発酵は未来のテクノロジーとしての側面を持ちながらも、伝統的な食品加工方法としてさまざまな観点から注目されているというのです。 ちなみに著者によれば、ビジネスパーソンが発酵を知るべき理由は3つあるようです。 まず1つ目は、日本の発酵技術に多くのビジネスチャンスがあるから。職に関わるさまざまな社会問題の解決のため、日本の発酵技術が役立つと考えられているということです。 2つ目は、発酵を理解することで日本文化をより深く語ることができるから。和食のおいしさ、健康への効果、文化的な背景に世界から注目が集まっているだけに、和食を支える発酵について知っておくことは大きな力になるわけです。 そして3つ目は、発酵が自然科学、社会科学、人文(科学)など、さまざまな分野の「教養」への入り口になるから。発酵には多くの学問分野が絡み合っているため、そこから多くの学問分野の教養を身につけることができるというわけです。 私は「種麹」を代々製造・販売してきた麹屋三左衛門の第二十九代当主を勤めています。 味噌、醤油、清酒、焼酎、みりん、酢など、麹を用いる醸造メーカーの9割以上は、当社のような種麹メーカーから麹菌を購入して商品を製造しており、当社も現在では、全国3000社以上に種麹を販売しています。(「はじめに」より) つまり本書ではプロフェッショナルとしての経験に基づき、その歴史から最先端の技術、文化的な話題まで、発酵に関する多くの話題を取り上げているのです。 きょうは第5章「ビジネスパーソンが知っておきたい日本の発酵業界について」のなかから、発酵とビジネスとの関係性を探ってみたいと思います。