大切な人の喪失「悲しみと後悔」にどう向き合うか 11月23日の「グリーフを考える日」を前に改めて考える
あのときこうすればよかった……と考えがちですが、「できたこと」を考えてみると、違う感情がわいてくることがあります。 ■延命治療は父を苦しめただけでは… 亡き人と過ごした時間を少し客観的に思い返してみると、後悔ばかりではない、違った側面が見えてくることもあります。 父親を亡くした40代の男性は、次のような話をしてくれました。 「私の決めた延命治療は、父を苦しめただけではないだろうか、とずいぶん悩みました。苦しそうな父の顔ばかりが脳裏に浮かんできて……。延命せずにおだやかに逝かせてあげたほうがよかったのではないかとずっと後悔していました。
ですが、この間、アルバムを整理していたところ、ランドセルを背負った孫と父が病室で一緒に撮った写真が出てきました。延命治療をしていて、苦しかったはずの父ですが、孫に向けられた瞳はとても優しいものでした。その父の笑顔を見て、延命治療も悪くはなかったかな、と初めて思いました」 心残りばかりを思い返すのではなく、亡き人に自分がしてあげられたことを振り返ったり、亡き人と過ごした幸せな時間にも目を向けたりすることで、後悔や罪悪感はなくならないとしても、少し気持ちが軽くなるかもしれません。
後悔や罪悪感は、亡き人を大切に想っていたことの証の一つであり、あなたと亡き人をつないでくれているものと考えることもできます。 深く後悔することは、あなたがもう一度生き直すことにつながります。 十分に苦しんだあと、自分を少しずつ許していくことは、けっして悪いことではありません。 あなたを許すことは、あなたにしかできないことなのです。 とはいえ、どうしても許せない場合もあります。そんなときは、許せない自分を認めてあげることも大切です。
(まとめ)一緒に過ごした幸せな時間や「できたこと」にも目を向けてみる ■「考えない」時間も大事に 悲しみから距離を置く 亡き人のことばかり考えてしまい、何も手につかず、悲しみに暮れる日々を過ごしている人は多いのではないでしょうか。 これからの生活や先の人生を考えると、不安でしかたないという人もたくさんいると思います。 考えれば考えるほど気持ちが落ち込み、つらくなってくることもあるかもしれません。 「何も考えたくない」「すべてを忘れてしまいたい」と、何もかも投げ出してしまいたくなる日もあります。