再評価される貨物列車 物流界に何が起きているのか?
東日本大震災とアベノミクス
貨物列車がさらに注目されるようになったのは東日本大震災がきっかけでした。東北地方に食糧や燃料を運んでいたトラック輸送網が麻痺し、東北から東京や大阪に農産物や工業製品を輸送することもできなくなりました。 そんな危機を救ったのが貨物列車です。東日本大震災でも線路は被災しましたが、被害の軽微だった日本海側から迂回することで被災地に物資を輸送することができたのです。災害時にも物流を途切れさせないという使命を果たした貨物列車は、安定的に輸送ができると荷主から再評価されたのです。 そして、日本経済の変化によって、貨物列車はますます注目されるようになりました。 「ここ1~2年、アベノミクスによって企業活動が活発になりました。それに伴い物流も活性化しています。しかし、高齢化の問題から、物流を担う長距離トラックのドライバー不足が顕著になっているのです。そこで、長距離輸送・大量輸送が可能で人手が少なくて済む、エネルギー効率もよい貨物列車に白羽の矢が立つことになったのです」(JR貨物総務部広報室) 普段、人が乗ることがない貨物列車は、あまり役割を知られることがありません。しかし、環境にも優しく労働力不足も補う縁の下力持ちであり、私たちの生活になくてはならない存在です。駅ホームで電車を待っているときに、もし貨物列車が走ってくることがあったら、そんな縁の下の力持ちに思いをはせてみてください。 (小川裕夫=ライター)