元TBS・海保知里アナ 「はなまる」岡江久美子さんからの教え “体当たり”で挑んだサンジャポ秘話
海保知里さんインタビュー第3回
元TBSアナウンサーの海保知里さん(48)。局アナ時代は、多くの情報番組やバラエティー番組で活躍した。中でも、特に思い入れが強いのが、2代目アシスタントを務めた「サンデージャポン」と入社半年後から出演した「はなまるマーケット」だという。(インタビュー第3回・全4回) 【レア写真】ノースリーブ姿で初々しい海保さん、TBSアナウンス部で…ウェディングドレス姿、NY時代、子どもとの近影も
「あんな正直な方には、会ったことがありませんでした」 海保さんがそう振り返るのは、「はなまるマーケット」で共演した故・岡江久美子さん(享年63)だ。薬丸裕英とともに総合司会を務め、TBSの看板番組を支えた。 海保さんは2003年から携わり、04年からは3年間、進行も務めた。番組では、岡江さんと薬丸の歯に衣着せぬやりとりが、視聴者の心をつかんだ。 「(番組で紹介された料理を)お2人は口に合わないものは『美味しい』と言わない。初めはビックリしました(笑)が、視聴者に対して誠実なんですよね。それを別の視点からフォローするのが私の役割になりました」 2人が番組内で自由に振る舞う姿に、教わることも多かった。 「流れに流されない生き方というか、自分に嘘をつかない生き方をすることの大切さを学びました。例えば、便利グッズを紹介しても、『これ、使いづらいね』と素直に言うんです。岡江さんは“空気清浄機”みたいな方で、“イオン”か何か出ているみたいで、一緒にいてとてもホッとする存在でした」 プライベートでも仲が良かった岡江さんのある姿が印象に残っている。 「番組が終わった後に、車など乗らず、そのままスニーカーを履いて、街中に消えていくんですよ。それも、すっぴんで。1人でご飯を食べたりとか、お店に入ったりしていたみたいです。本当に自由に生きていて、私が結婚してニューヨークにいた時も一度、1人で遊びに来てくれました。オイスターがお好きでしたので、一緒に食べに行ったりしました」
「人間ディスポーザーだね」
岡江さんは2020年、コロナでこの世を去った。亡くなる直前まで、LINEでおススメの映画について、やりとりしていただけにショックは大きかったという。思い出に残っている言葉がある。 「私、すごい食欲あって、本当によく食べるんです。それで、岡江さんから『海保ちゃんって、人間ディスポーザーだね』って言われたのが、一生忘れられません(笑)。着想が独創的で周りを明るくさせてくれる岡江さんが大好きでした。そんなことを発想すること自体が本当にすごいなと思うんです」 TBS時代、もう一つ思い出深かった番組は「サンデージャポン」だ。2代目アシスタントとして、2002年から約3年間、出演。サブ(サブコントロールルーム)からの指示で、カットイン、V振りなどの司会進行を行った。 「場を変える役割をするのは初めてでしたので、経験としては大きかったです。司会の爆笑問題さんはすごく距離が近くて、フレンドリーでなんでも相談したくなるようなお2人でした」 忘れられない出来事がある。 元大阪市長の橋下徹氏が番組を降板した時のことだ。生放送中、橋下氏が突然、「辞めます」と言って、いきなり立ち上がっていなくなってしまった。その場に居合わせた海保さんは、呆然と立ち尽くすしかなかったという。 「耳にインカムを入れているのですが、通常であればタイムキーパーさんやディレクターの声が聞こえてくるのが、その瞬間、サブに沈黙が走ったんです。『これ隠し台本かな』と疑いましたが、すぐにサブから鉄骨階段を走ってスタジオに降りてくる プロデューサーの姿靴音と声が聞こえました。これは本当なんだと生放送ならではのすごさを感じた瞬間でした」