「女性のJA組合長ってどんな人?」 富山・JAなのはな 谷井悦子組合長に密着
「女性のJA組合長って、どんな人がやっているのですか」。10日の「農山漁村女性の日」を前に、千葉県の50代女性から本紙「農家の特報班」に、そんな声が届いた。全国の535JA(2024年1月1日時点)のうち、女性組合長は3人だけ。その中で最もキャリアの長い、富山県のJAなのはな組合長、谷井悦子さん(78)の1日に密着し、手腕や人柄に迫った。 【動画】理事会や組合長室、自宅で… 1日に密着 ◇ 「お父さん、きょうも寒いね」。午前5時半。富山市にある自宅の一室で手を合わせた。目の前には2年前に急死した夫の写真。毎朝の日課だ。 身にまとうのは赤のスーツ。「昔から赤が好き。心が燃えるんよ」。娘の香映さん(52)が作った朝食を取ると自ら車を走らせ、JA本店に向かった。 この日は午前9時半ごろから定例の理事会があった。役員12人が集まる中、赤のスーツを着た谷井さんが存在感を放つ。 「○○さんはいかがですか」と発言を促す。多くの人の意見を聞こうと、何か言いたそうな表情の人を見つけ、指名する。会議は円滑に進み、米の高温障害についても意見交換して終えた。 「組合員のところに、もっと出向かなならん。肥料の相談や家庭の悩みを相談してもらえる関係をつくらんと」 午後の組合長室。相談に訪れた共済課長に、そう助言した。自身もJA職員出身で、共済を担当した経験もあるだけに、力のこもった声だった。 職員を叱咤(しった)激励することもあれば一緒におしゃべりすることも。「働きやすい職場づくりや組合員の話、いろいろなことを職員から聞いて、みんなの力でJAを前に進めたくて」
日本農業新聞