「ブラジルの和太鼓レベルは高い」和太鼓獅子舞専門家改田さん来伯
ブラジル太鼓協会からの要請で、JICA短期ボランティアとして、日本から改田雅典さんが来伯した。改田さんは、「獅子舞でん舎」の屋号で、日本の伝統文化である獅子舞と和太鼓の普及とパフォーマンスを行っている。テレビやCM出演のほか、国際イベントにも参加している。 8月21日にブラジルに到着し、各地で太鼓チームの合同研修会や太鼓の指導、太鼓と獅子舞のパフォーマンスを行った。22日にはサンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区にある大阪NANIWA会館で、最後のワークショップと和太鼓演奏および獅子舞を披露した。 【現地映像】改田さんによるワークショップの様子はこちらから!
ワークショップには、ブラジル和太鼓協会とJICAブラジルのインスタグラムなどから、事前申し込みした約40人が参加した。初めに3つのグループに分かれ、改田さんの太鼓に合わせて踊りながら声を出し、最後にポーズをとるという練習を行い、その後4人ずつのグループになって、実際に太鼓を叩いた。経験者と初心者が入り混じって行われ、演奏が次第に上手に行えるようになると、参加者らの表情にも笑顔が増えていった。 JICAブラジル宮崎明博所長はワークショップの様子を見て、「単なる技術指導ではない、太鼓の持っているスピリッツやハートの部分をうまく引き出してくれる指導でした。皆さんが笑顔で参加してくれたのが素晴らしいですね」と改田さんの指導に感心していた。 初めて和太鼓を触ったというブラジル人男性は、「ブラジルの伝統的な音楽のバトゥーキが元々好きだから、それの日本バージョンって感じで面白いね!」と話し、一緒に参加した友人たちと、とても自由に楽しく演奏をしていた。 ブラジル太鼓協会髙野信太郎会長は、「改田先生が明るくて楽しく太鼓をやりましょう、という指導をしてくれたので、これからはその気持ちを大切にしてやっていきたい」と感謝した。 瑞穂和太鼓(Mizuho Wadaiko)グループでの太鼓経験を持つブラジル人女性は、「楽しんで演奏すること、気持ちを伝えることが大事ということを今日学びました」と笑顔を見せた。また、初めて獅子舞に頭を噛まれ、「獅子舞に悪いものを食べてもらってよかった」と日本の文化に興味を示していた。 改田さんは、「ブラジルの太鼓のレベルはものすごく高い。日本のトップクラスとまではいかないけれども、それなりにできる人達がいました。ただ、ものすごく日本的なんですよ。盆踊りとかお寿司とかは、かなり形が変わってきていて日本発祥のものがブラジル化している。でも、太鼓だけは、かたくなに日本のものが引き継がれている。話を聞くと、先生がすごく厳しくて、一生懸命にストイックにやるというのが日本の太鼓というふうにみんな思っていた。だから、そこを少し崩したかったんですよ。ブラジルってサンバとかボサノバとか、いいダンス、いい音楽がいっぱいあるので、それらとうまく融合させながら、日本の形をただ真似するだけじゃないものをできるんじゃないかな、と思ったんですよね。今日のワークショップのように、自分たちで考えて、みんなで話してみて、と言うと、ものすごいアイデアが広がるのがブラジルの人たちの特徴ですね。積極的だし、自分たちがもっと楽しめると、ブラジルの太鼓はもっと発展できると思う。私の意図を超えて、こんなふうに踊るんだ、こんなふうに叩くんだ、というのをたくさん見せてもらえて、とても可能性が見えるお国柄だな、と思いました」と改田さん自身も、ブラジルでたくさんの刺激を受けたようだ。