「大阪生まれの在日コリアン3世」が、韓国に留学して気づいた「語学の勉強でなにより大切なこと」
在日コリアン3世で元全国紙記者の韓光勲さんは、30歳にして韓国留学を決断しました。韓国籍ではあるものの、「大阪生まれ、大阪育ち」であり、韓国語が苦手。それでも韓国に留学し、在日コリアンという立場からさまざまな発見をします。 【写真】韓国留学のきっかけになった「美少女たち」 そんな彼の発見をギュッとまとめたのが『在日コリアンが韓国に留学したら』(ワニブックス刊)という本。ここでは同書から、韓さんが留学中、韓国語の作文の練習をしていたときに気づいたことをご紹介します。 (本記事は『在日コリアンが韓国に留学したら』からの抜粋です)
韓国籍で作文する
韓国語の授業は毎日淡々と進んでいった。授業の宿題のほかに、自主的に韓国語で作文をしようと思い立った。早速、1本書いてみた。できるなら語学堂の先生に見てほしいなと思い、担当のヒョンジュ先生に頼むと、快諾してくれた。 先生に、韓国語で書いた作文をカカオトークで送った。1本目を午後4時前に送ると、8時前に添削されて返ってきた。仕事が終わってから返信をしてくれたのだ。ありがたいことこの上ない。ちょこちょこ間違えていたので、修正しよう。そして、その文章を覚えよう。これはかなり力がつきそうだ。 先生には3カ月間で10本くらいの作文を送った。僕がなぜ韓国に留学するようになったのかとか、K-POPアイドルが学習者に与える好影響とか、その時々で思いついたテーマで作文を書いた。先生は「いい内容ですね」と褒めてくれた。 語学堂の先生は「時間講師」である。午前9時から午後1時まで授業をしたとすると、その4時間分は時給制だ。実は、僕が作文の添削をお願いしていた夜の時間は、先生にとっては時間外勤務になる。このことは後で知った。 作文を毎回見てくれたヒョンジュ先生には感謝してもしきれない。本当にありがたかった。おかげで作文への苦手意識が薄らいだ。「どんどん書いていけばいいのだ」と開き直ることができた。
日本育ちには「開き直り」が肝
外国語学習で大事なのは、この「開き直り」である。日本の人はシャイな人が多いので、恥ずかしがって、「間違えてもいいや」と開き直ることがなかなかできない。僕も同様に、やっぱり間違うのは恥ずかしい。 外国語学習ではシャイな性格は不利である。いくらでも間違えていいし、間違いは教室で修正してもらえばいいのだと開き直った方が、上達が早い。あまり間違いばかりなのも考えものだけど、間違いを気にして話さないよりはずっといい。 僕はオランダでこのことを学んだ。いろんな国から来た人々の英語を聞いて、「文法的には間違っているな」と思うことがよくあった。それでも、聞いている周りの人は特に気にしないし、会話は成立する。前置詞が少し間違おうが、「三人称単数現在形のs」が抜けようが、誰も気にしない。 「それならどんどん話していこう」と途中で頭を切り替えた。留学から半年以上たってからのことだった。そこからは臆せずに英語を話すようになった。 こういうマインドを持っていたので、韓国語の授業では誰よりも先に発言した。質問もよくした。