使用済み核燃料の中間貯蔵施設計画、賛否が拮抗 賛成44・3% 反対44・8% 山口県上関町民アンケート
中国電力と関西電力が山口県上関町で計画する使用済み核燃料の中間貯蔵施設について中国新聞社が実施した町民アンケートで、計画について「賛成」または「どちらかといえば賛成」と答えた人は44・3%、「反対」または「どちらかといえば反対」は44・8%と賛否が拮抗(きっこう)した。同町で計画が浮上して間もなく1年。人口減が加速する町の将来への思い、原発から出た核燃料が長期間滞留するリスクなどを巡り、町民の思いは交錯している。 【グラフ】中間貯蔵施設計画への賛否などアンケート結果 アンケートは郵送方式で実施した。4月1日時点の上関町の住民基本台帳(2238人)の閲覧を町に申請し、18歳以上の2人に1人の割合で無作為に1051人を抽出。5月末に調査票を発送し、6月末までに421人の回答を得た。郵送の不達分を除いた回答率は40・7%。 中間貯蔵施設の計画について「賛成」は24・8%、「どちらかといえば賛成」は19・5%。「反対」は33・0%、「どちらかといえば反対」が11・8%。「どちらともいえない/分からない」は10・8%だった。 賛成と答えた理由(選択式、複数回答)は、「町に交付金が入り、町財政が安定する」が最多の26・8%。「町の産業に経済効果がある」が19・0%、「施設は安全だと思う」が18・4%と続いた。 反対と答えた理由(同)のトップは「核燃料サイクルが実現せず、長期貯蔵されるリスクがある」の26・1%。「施設の安全性に懸念がある」が17・0%、「関西電力の核燃料が運び込まれることに反対」が15・9%で続いた。 「どちらともいえない/分からない」の理由は自由記述で尋ねた。「町と電気事業者の進め方に不信感があり、もろ手を挙げての賛成はしたくない」「いろいろな立場、見方を考えるとどちらともいえない」などの意見があった。 東日本大震災後に建設計画が中断されている同町での原発計画についても受け止めを尋ねた。 「計画・誘致方針を維持して推進すべき」が37・3%、「凍結して白紙から議論すべき」が20・4%、「計画・誘致方針を撤回すべき」が35・4%。町や中電は原発計画を維持、推進する方針を変えていないが、現状に何らかの軌道修正を求める声が過半数を占めた。
中国新聞社