道路や地形の3Dデータをオープン化する静岡県の狙いとは
「Shizuoka Point Cloud DB」というサイトをご存じだろうか? 静岡県内の道路や地形などの3D点群データを公開しているサイトだ。県が運営を行っていて、データはだれでも利用できる。3Dの点群データをオープン化している自治体は全国で静岡県だけだという。静岡県はなぜ、道路や地形などの3D点群データをオープン化しているのだろうか?
2020年に開催される東京オリンピックで自転車競技が開催される伊豆半島。オリンピックを前に静岡県は条例を改正し、伊豆半島の主要県道や国道の屋外広告看板の設置を原則禁止とし、違法看板の監視強化に乗り出している。どこに屋外広告が設置されているのか県が調査を行うため、活用したのがMMS(モービルマッピングシステム)と呼ばれるシステムだ。 レーザー計測器やデジタルカメラなどを搭載した車両で道路を走行し、道路や周辺の3D点群データを取得し、そのデータを解析することで道路のどこにどのような広告が設置されているのか詳細に把握することができるという。かつては職員がカメラで撮影をして回ったということだが、行政の現場においても先端テクノロジーを駆使した取り組みが進んでいるようだ。 MMSによって取得した3D点群データは、道路やその周辺状況の把握だけでなく、地形や建築物の把握など様々な用途で活用が可能だ。そのため全国の自治体の現場で利用され、自治体には3D点群データが蓄積されている。 データは自治体の内部データとして保管されているのが一般的なようだが、静岡県はオープンデータとして公開し、だれもが利用できるように「Shizuoka Point Cloud DB」というサイトを構築している。 その意図について県建設技術企画課班長の杉本直也氏は「第一義的には災害時の対応のためです。土砂の崩壊などがあった場所の被災前のデータが公開されていれば、被災後の計測データとつき合わせることで速やかに被害状況を把握して復旧工事に取り組むことができます」と話す。 被災した道路や橋、土地や建物などを復旧する際に、被災前の3D点群データがオープンになっていれば、建設業者などが正確に被災状況を把握し、復旧工事を行う際も迅速に取り組むことができるというのだ。