道路や地形の3Dデータをオープン化する静岡県の狙いとは
静岡県が3D点群データをオープン化している意図は災害対策だけを目的にしたものではないという。ダイナミックマップ基盤株式会社(東京都港区、中島務社長)は自動走行や安全運転支援システムの実現のために国内の高速道路や自動車専用道路の高精度3D地図データを作成している会社だが、静岡県は今年、同社と協定を締結した。 ダイナミックマップ基盤株式会社は現在、各地の道路のMMSデータを取得して高精度3D地図データを作成している。国は2025年を目途に完全自動運転の実現を目指していて、そのためには高精度3D地図データが整備されていなければならない。 オールジャパン体制でダイナミックマップ基盤株式会社が組織され、自動運転用の高精度3D地図データの作成が進められているのだ。静岡県が同社と結んだ協定は、静岡県がオープン化している3D点群データを高精度3D地図データ作成のデータとして活用することを目指したものだ。 現在、静岡県の3D点群データが高精度3D地図データとして活用可能か検証が行われているとのことだが、県は年度内にも県の3D点群データから作成した地図データを実装した車両による自動運転の実証実験を袋井市のエコパスタジアム周辺で行いたいとしている。「注目しているのはコスト。県データを活用することで本来のコストをどれだけ低く抑えることができるのか」と県建設技術企画課班長の杉本氏は期待する。 オープン化されている静岡県の3D点群データだが、利用するには専門的な知識や技能が必要な上、表示ソフトもまだ発展途上、処理にも時間がかかることから利用はごく一部に限られているのが実態のようだ。 しかし、県のオープンデータを利用することでコスト削減が明確になれば、企業の利用が進み、利用が広がれば表示ソフトや高速で処理するプログラムの開発も進んで、3D点群データの利用はさらに普及していくかもしれない。Shizuoka Point Cloud DBがビジネスの様々なシーンで活用され、県内で事業を展開する企業を後押しする、そんな展開も将来的には期待されるのだという。 【3D点群データ】空間の3次元を表す点群データ。点群データの集合体によって空間をコンピューターに再現する。点群データはレーザーによる3次元スキャナーで取得することができ、MMS(モービルマッピングシステム)によって車やドローンを使って取得する。