「夏甲子園中止」報道に元阪神”ゴジラキラー”遠山昭治・浪速高監督が悲痛な願い「全国球児に道標を。甲子園無理でも地方大会は開催して欲しい」
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕・甲子園)が中止の方向で検討されていることが15日、判明した。プロ野球の阪神などで活躍し昨年11月に浪速高校(大阪)の監督に就任した遠山昭治さん(52)も、コロナショックにほんろうされている1人だ。 春の大阪府大会も中止となり、まだ監督初陣を果たせていない。かつて巨人の松井秀喜キラーとして名を馳せた“金さん”は、現状の厳しさを認識しつつ「全国の3年生部員に道しるべを。たとえ甲子園は無理でも地方大会は開催してあげてほしい」と訴えた。 この14日には39県で緊急事態宣言が解除された。大阪府が設けた「大阪モデル」の数値目標も7日連続でクリアされ、浪速のシンボル「通天閣」には、その証しとしてグリーンライトが灯った。 新型コロナ禍の出口へ向けた動きは加速したかに思えた。「これなら夏の甲子園も開催か」と浮足立った関係者もいたかもしれない。しかし、現実は厳しいものだった。 15日に一部スポーツ紙が「夏の甲子園中止」をスクープ。報道各社が追いかけNHKまで「中止を検討」と報道した。東京、大阪、兵庫など8つの都道府県では緊急事態宣言は継続されたまま。高野連の中では選手の健康、安全面を重視する理由から開催中止という声が多数を占めている。正式には、20日に行われる高野連の運営委員会で決定するが「夏の甲子園中止」の流れは止められないようだ。 センバツ大会が中止となり、夏に向けて気持ちを切り替えていたチームや、「夏こそは」と燃えていた全国の球児にとっては、残酷な宣告となる。 特別な気持ちで初めての夏を迎えようとしていた浪速高の“元プロ“遠山監督にとっても、それは衝撃のニュースだった。 チーム活動は新型コロナの影響で、約1か月半ストップしたまま。電話取材で「夏の甲子園中止」の報道を受けての心境を聞いたが、半ば驚き、半ば冷静に受け止めていた。 「まだ正式決定ではなく報道だけのようですが、半分は仕方ないかなと思います。でも、3年生のことを考えると、やらせてあげたいですね。それはみなさん、思っていることでしょう。インターハイが中止になり、大学野球選手権もやれなくなった。しかし、なんでもかんでも中止というのもどうかと思います。高野連は20日に決めると言っていたのに、なんでこんな流れになったのか。早々と決めないで、できることを精いっぱい模索してほしい。それが甲子園なら言うことはないけれど、ダメならせめて、地方大会はやらせてあげたい。全国の3年生のために」 悲痛な願いである。