日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』いよいよ最終回 新井順子Pが語る物語に込めた思い「未来につながる何かを見つけてもらえたら」
◆緑なき端島は、現代・東京のコンクリートジャングルとどこか重なるような気がしています。 屋上の緑化活動は、実際に端島で行われていたことをベースにしています。リアルな現代で屋上緑化が進んでいることもあり、設定をかけ合わせるため朝子にその役割を担ってもらうことにしました。屋上緑化だけでなく、過去と現在をどのようにリンクさせていくか常に考えていたのですが、挑戦してみたら意外と難しかったですね。視聴者の皆さんは「どこに連れて行かれるのかな、このドラマ」と思っていたのではないかと思いますが、第8話からようやく端島と現代がしっかりリンクするようになりました。複雑ですが、その分最終回は謎解き甲斐があり、見応えがあるはずです! ◆考察も盛り上がっていますね。 さまざまな考察がされていますが、編集ではなるべくバレないようにしているつもり。監督が怪しげに撮影するので、編集で塩梅を調整しているんです(笑)。そういえば、物語序盤では、いづみと朝 子をリンクさせる演出で正体を匂わせていたのですが、皆さん全て見つけられましたか? キラキラしたものと花が好きなのはもちろんですが、第1話の八宝菜にキクラゲが入っているのもポイントでした。第6話ではカステラが好きという設定もリンクしてきたんですよ。 ◆そういった演出も含め、野木亜紀子さんの緻密な脚本が丁寧に描写されてきましたね。 そうですね。脚本の緻密さに、映像になってからの驚きが加わっています。第8話の着炭に喜ぶシーンは、台本では動きの説明が多い場面だったのですが、本編ではとても感情豊かに撮られていてグッときました。炭鉱員の皆さんの顔が生き生きしていましたし、終盤に撮影したこともあってより一層チーム感が出ていましたね。最終回で、炭鉱員の北村(中村シユン)がタバコをくゆらせているシーンがあるのですが、その撮影ではスタッフさんたちが大号泣。人生の酸いも甘いも経験されてきた俳優さんの表情やニュアンスは、20、30代には出せないもの。貫禄、切なさ、寂しさを一気に感じ、塚原監督も思わず階段を駆け降りてきて「泣きました~!」と言っていました(笑)。どんなシーンなのかは放送を楽しみにしていてください! ◆本作の物語そのもののテーマに、未来につながっていく力を感じます。 時代はつながっていて、自分が歩く道の先にも未来があります。便利な物であふれる現代ですが、そんな時代を生きる玲央(神木隆之介が一人二役)は第8話で「もっと思いっ切り笑って、誰かのために、泣いたり、幸せになってくれって祈ったり。石炭が出ますようにって心の底から願ってみたい。…俺もダイヤモンドがほしい」とこぼします。きっと玲央はその“ダイヤモンド”を見つけて歩いていくでしょう。本作を見たことで未来が変わるのか、それとも変わらないのか。皆さんにも地続きの人生から、未来につながる何かを見つけてもらえたらうれしいです。 ◆最終回に向けて視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。 全ての謎が解き明かされる2時間になっています。視聴者の皆さんもそれぞれ興味や着眼点が違うので、注目しているキャラクターも違うと思います。現代パートでは滝藤賢一さんと麻生祐未さんが演じる新しい登場人物も出てきて、より一層、人生は地続きであると実感していただけるはず。考察してくださっている方々には答え合わせをしていただき、していない皆さんにはキャラクターたちの人生をただ温かく見守ってもらえたら。最終回を見て、もう一度第1話から見返していただくと、格別の感動を味わっていただけると思います。