日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』いよいよ最終回 新井順子Pが語る物語に込めた思い「未来につながる何かを見つけてもらえたら」
神木隆之介が主演を務める日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)の最終回(12月22日(日)午後9時~10時50分放送)を前に、新井順子プロデューサーのコメントが到着した。 【写真】端島を眺めるいづみ(宮本信子)と玲央(神木隆之介) 本作は、『アンナチュラル』(2018年)、『MIU404』(2020年)など数々のヒット作を生み出している、野木亜紀子×塚原あゆ子×新井順子という強力チームが手掛ける初の日曜劇場。1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語を描く。 ◆物語の真髄に近づき一層の盛り上がりを見せていますが、新井さんのもとにはどんな反響が届いていますか? 後半に突入した第6話の放送では、「これが最終回でいいんじゃないか」という声がたくさん届きました(笑)。予告を見て、第7話はイヤな予感しかしないと。物語の序盤から台風やストライキ、戦争の話が描かれてきたなかで唯一平和な回になったので、急にほっこりし過ぎと指摘されるかと思っていたのですが、鉄平と朝子(杉咲花)の告白シーンの評判がものすごく良かったのも印象的でした。知り合いの俳優さんたちからも「何なんですかあのお芝居は!」と、驚かれましたね。 ◆ちなみに、どのような撮影だったのでしょうか? 実はあれ、神木さんが恋愛リアリティ番組のようにドキュメンタリータッチで撮るのはどうかと提案してくれたシーンなんです。望遠カメラで遠くから撮影しているのですが、素人が撮影したような映像に近づけたかったので、監督がカメラマンに「下手に撮ってくれ」と異例のリクエストをしていま した。神木さんがいつ「好きだ」と言うのか、どんなリアクションをするのかなども誰も知らない状態。放送された尺よりも実際はもっと長く撮影していて、告白前の絶妙なタメもありました。 ◆その告白を受けた杉咲さんのお芝居も素晴らしかったですね。 カメラに背中を向けて涙を拭いていて、敢えて後ろを向くのか!と驚かされました。神木さんのお芝居を受けて、つい涙を流されたみたいで。以前にも思わぬところで涙が出たことがあって、「すみません…! 泣いてしまいました。もう一回やったほうがいいですよね?」と確認していたのですが、監督から「そのままがいい!」と採用されたこともしばしば。杉咲さんを見ていると、心で芝居していることが伝わってきますね。 ◆撮影後にはどのような会話がありましたか? 神木さんはその撮影の後に現場にやってきた人に「こういうシーンだったんだけど、見て!」とアピールしていました(笑)。第6話では賢将(清水尋也)と鉄平、2つの告白シーンがあったので、正統派の賢将とどう差をつけるか神木さんも考えていたのだと思います。ご本人としてもチャレンジングで、気合いを入れていたシーンだったのかもしれませんね。 ◆百合子(土屋太鳳)と賢将のプロポーズシーンも話題でした。 監督の狙いで、日常のなかでプロポーズすることになりました。ドライでは向き合って普通にプロポーズしていたのですが、本番ではエキストラさんが周りにたくさんいて、賢将が抱きしめようとするから「こんなところでやめてよ」という2人らしい押し問答みたいなシーンになりました。 ◆第7話の炭鉱火災は、端島を語るうえで外せないと思います。進平(斎藤工)が炭鉱火災で亡くなってしまう展開はもとから決まっていたのでしょうか? 全体の構成を決めているときから、第7話で進平が亡くなってしまう展開を入れる案が出ていました。なので、斎藤さんにもオファー時からそのように説明していました。 ◆炭鉱内の撮影でのエピソードを聞かせてください。 第7話の坑内のシーンは丸4日かけて実際の炭鉱で撮影しました。端島の海底炭鉱は地熱の影響で暑い設定なのですが、撮影でお借りした場所は山にある炭鉱なので、息が白くなるほど寒い。長く滞在すると感覚が鈍ってきて、炭鉱員の皆さんの苦労が身に染みた4日間でした。 ◆爆発シーンはどのように撮影されたのでしょうか? あれは本物の炎を使用していて、お借りしている場所での許可をいただいて実際に放水作業も行っています。炭鉱員キャストの皆さんは「粘土を運んでください! 放水してください!」と指示されるがままに動いてくださって、どのシーンを撮っているかわからないほどだったはず。もはやお芝居ではなく、リアルに近いシーンとなりました。 ◆制作チームの努力が映像ににじみ出ていますね。 そうですね。特に美術チームには作品を通して本当に助けられています。先日も、とあるいづみ(宮本信子)のシーンを撮影したのですが、季節的にリアルな風景を作り上げることが難しいシーンでした。CGでどうにか…という話にもなったのですが、さすがに何もないところで宮本さんにお芝居していただくのは厳しいんじゃないかと頭を抱えていて…。そうしたら、美術部さんがどうにか季節外れの“あるもの”をかき集めてくれたんです。加えてCGの力もお借りしたのですが、少しでもキャストの皆さんがお芝居をしやすいよう配慮を怠らないスタッフの姿勢に感動しました。