英CPI、9月は前年比+1.7%に急低下 利下げ観測強まる
Andy Bruce William Schomberg [16日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が16日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.7%上昇と、前月の2.2%上昇から大幅に鈍化し、2021年4月以来の低い伸びとなった。 航空運賃とガソリン価格の下落が主因。ロイターがまとめた市場予想は1.9%上昇だった。 市場ではイングランド銀行(英中央銀行)が来月、利下げを実施するとの観測が強まっている。 統計発表を受け、ポンドは対ドルで0.8セント下落。金利先物市場が予想する年内2回の25ベーシスポイント(bp)利下げの確率は前日の80%から90%に上昇した。 EY・ITEMクラブのチーフ・エコノミスト・アドバイザー、マーティン・スワネル氏は「11月の25bp利下げの潜在的な障害がまた1つ取り除かれた」と指摘。 「重要な問題は、その後の会合で利下げのペースを上げるかどうかだ。利下げペースを上げるには賃金上昇率とインフレ率でさらに良いニュースが必要だ」と述べた ONSが15日発表した6─8月期の賃金上昇率は約2年ぶりの低水準だった。求人数も引き続き減少した。 KPMG・UKのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は、中東紛争に伴う原油高と国内エネルギー料金の値上げでインフレ率が今後上昇する可能性が高いが、中銀が利下げを見送ることはないだろうと指摘。 「労働市場の緩み(拡大)に加え、基調インフレ率に継続的な進展が見られるため、一段の金融緩和余地があるはずだ」と述べた。 エネルギー、食品、アルコール、たばこを除くコアインフレ率は、8月の3.6%から3.2%に低下。 中銀が注目するサービス価格の上昇率も8月の5.6%から4.9%に低下、22年5月以来の低水準となった。 中銀は8月に公表した予測で、サービス価格の上昇率が年内に5%を割り込むとは予想していなかった。 英財務省はインフレ率の低下を歓迎。インフレ鈍化はリーブズ財務相が30日に公表する予算案に寄与するとみられている。 9月の生産者物価(PPI)産出指数は前年比0.7%下落と、20年10月以降で最大の下落を記録した。