韓国内で加速度的に進む分断「党派色が違う人とは結婚も会食もしない。敵とみなして潰す」“思想的内戦状態”の現実は
■韓国内で起きるあらゆる分断 出生率はわずか「0.72」に
深刻な分断は、既に様々なところで影響が出ている。国民の実生活でいえば「韓国国民の中で、党派色が違う人とは結婚しないとか、会食も一緒に行かないところまできている。党派色が違う相手とは、自分は結婚しないし、子どもの結婚も認めない、という人が過半数(そもそも成人の結婚・非婚、生き方は全て個人の選択)」。支持政党に関する会話をしなければ、党派色などわからないと思われるところだが「たとえばネクタイの色が赤系か青系かで、赤は「国民の力」の色、青は「共に民主党」の色と思われるので、誤解を避けるためにネクタイをしなかったり、全然違う色にする人もいるほどだ。あるいは、カラーコードまでピタッと合わせたりする」と、見た目だけで、党派色を感じ取られてしまうこともあるという。 分断の影響が大きく出ているのが、日本でも問題になっている出生率の低下だ。日本は1.20(2023年)だが、韓国では0.72とさらに深刻だ。党派色による分断だけでなく、男女間、年齢や世代、住んでいるエリア、学歴、年収、資産など、あらゆるところで分断が生じている。浅羽氏は「YouTubeで3つぐらい検索すると、アルゴリズムによって同系列のおすすめだけで埋まってしまう。それを「深掘り」して「ああ、そうだよね」と確信を強めていくが、そもそもの問いの立て方を間違えると、全然とんちんかんな答えに行き着く。今回の事態でもそうだ」と、メディアは「人の間」をつなぐ「媒介(media)」のはずなのに、ネットサービスのアルゴリズムが、さらなる分断を生んでいるとも指摘した。 分断、分極化は世界各国でも大きな課題だ。とりわけ大統領選が行われたアメリカでは、トランプ氏再選にあたり、大きな分断が起きた。「先進民主主義諸国でも、民主主義のサバイバルが根底から問われている。「新興民主主義の優等生」だったはずの韓国は分極化が国会だけでなく、国民の間でも進んだ。次の大統領に代わったとしても、分断、左右の対立は残る。これをいかに統合の方向に持っていけるか。党派色が違う人とメシを食わない状況が韓国という「国のかたち」なのか、このままでいいのか。将来世代にどのようなレガシーを残すのか。現在を生きる我々には、過去と未来の間で、どうするのかが問われている。韓国では「憲政史」が生きた言葉で、今まさに、現在進行形で経験している。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部