途中出場で流れを変えた阪南大高MF瀬尾優斗(2年)(Masayoshi MORITA)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [6.8 インターハイ大阪府予選準決勝　阪南大高 2-0 大阪桐蔭高 J-GREEN堺S1] 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 　準備してきた策が裏目に出て、序盤から大阪桐蔭高に押し込まれる展開となった前半は「内容が酷すぎた」と濱田豪監督が振り返る展開となった。阪南大高にとって我慢の展開を変えたのは、指揮官が「良い意味でも悪い意味でも、何があっても淡々とやれる」と評するMF瀬尾優斗(2年)。全国大会がかかった大一番かつ途中出場という難しい条件の中でも落ち着いたプレーを披露し、チームに得点と勝利を引き寄せた。 　確かな力を持ちながらも、「途中から出ても、あまりコンディションを落とさない」(濱田監督)という特性を買われ、この日はベンチからのスタートだったが、試合序盤から続く悪い流れを変えるため、前半24分から出番を与えられた。急な交代出場だったため、心の準備はしていなかったというが、動じた様子は一切見られない。「前日からチームが良い雰囲気を作れていたので、そのノリで行きました。準決勝だから気合が入るというよりは、どの試合でもそれなりにやっていこうというタイプ。ミスしても、次に切り替えてやろうという感じでやっている」と瀬尾は口にする。 　最初の見せ場は投入からわずか4分後に訪れる。28分、MF福本一太(3年)のパスを受けたFW弓場潤哉(3年)が強引なドリブルからゴール前にパスを入れると、待ち構えていたのは瀬尾。冷静に流し込んだシュートがゴールネットを揺らし、先制点となった。「僕らのチームはゴール前で待っていれば、そこまでボールを持ってきてくれる選手が揃っている。ゴール前で待っておいて、ワンタッチやツータッチでシュートが打てたら良いなと思っている。弓場なら何とかしてくれると思っていた」。 　2度目のチャンスは後半18分だった。中央で福本が奪ったボールを左に展開すると、受けたMF伊藤成康(2年)が鋭い突破からゴール前に低いクロスを展開。「自分は高さがないので、ファーに行くのではなく、ニアに突っ込むしかない」と振り返る瀬尾がダイビングヘッドで合わせたシュートはGKに阻まれたが、こぼれ球をMF柏大輝(3年)が押し込み、2点目となった。 「真ん中で受けるためにも、スペースを作る作業が必要。チームとしてどんどん裏を抜けようと意識していた。自分がボールに関わらなくても相手のラインを下げる意味を込めて走ろうと意識しています」。そう話す瀬尾の得点以外の貢献は大きい。献身的に守備もこなし、パスコースを消してくれるため、福本ら中盤の選手がボールを奪いやすいのも特徴だ。 「楽しくサッカーをするのがモットーなチーム」(瀬尾)という中学の枚方FCマシア時代はパサータイプの選手。「全国大会に行きたくて、この高校に来た」阪南大高では前線でプレーする機会が増え、この日目立った裏抜けなどオフ・ザ・ボールの意識が強まった。阪南大高では高校サッカーに必要な戦う姿勢も成長の跡が見られるが、「その中で遊び心を持ったプレーや楽しみながらやるプレーが良いかなと思っているので、怒られない程度に楽しみたい」と笑みを浮かべるように、中学時代に培った遊び心も忘れていない。 　そうした落ち着きが大事な試合での活躍に繋がっているのかもしれない。今季奪った得点はプリンスリーグ関西1部開幕戦のG大阪ユース戦以来、2点目で「美味しいところを行かせてもらっている感じ。昔からそういうところで強い。持っている」と本人は笑う。どんな舞台でもひょうひょうとプレーできる彼ならば、ステージが全国大会に移っても活躍してくれるに違いない。