2025年の「メディア&広告業界」を徹底予測、欧米でソーシャルコマース加速か
ソーシャルコマースの増加、TikTokの命運
■2. マーケターたちはパフォーマンスメディア予算の10%をソーシャルコマース(SNSを通じた電子商取引)にシフトする ソーシャルコマースは既にアジア太平洋地域(APAC)では確立されているが、他の地域ではその普及が遅れている。2025年には、ソーシャルコマースがメディアプランにおける不可欠な要素となる年になるだろう。これは急激な変化であり、2021年時点で、英国のオンライン成人の60%、米国では51%、フランスでは46%がソーシャルメディア上で購入可能な広告を見たことすらなかったことを考えると驚きである。TikTok Shopは大幅に改善されたユーザー体験でこの状況を変えた。また、Apple PayやShopifyなどの統合された支払い・小売システムも、ソーシャルメディアプラットフォームでのチェックアウトや追跡体験を非常にスムーズにしている。消費者はソーシャルメディアを実用的なショッピングプラットフォームとして受け入れ、これによってこれらのチャネルは商品を販売するマーケターにとって重要なものとなる。 ■3. TikTokは2025年に米国で禁止されたり、事業売却を強いられたりしない 米国政府からの強い圧力にもかかわらず、中国のバイトダンスが運営するTikTokは、少なくとも当面はそのまま存続するだろう。TikTokの禁止は政治的にリスクが高いことに加え、同社はロビー活動や法的費用に巨額の資金を投じており、上訴手続きは2025年以降まで続くと考えられる。しかし、もしこの予測が誤りだった場合、メタやYouTubeは消費者と広告収入の両方を獲得することになるだろう。Forresterの調査によれば、もしTikTokが米国で禁止された場合、ユーザーはReels(Instagram)やShorts(YouTube)に移行するという。この現象は2020年にインドがTikTokを禁止した際にも見られた。この高パフォーマンスのメディアチャネルへの投資を続け、それを支える多面的なクリエイターストラテジーを構築するだろう。 状況は落ち着いてきたように見えるかもしれないが、油断は禁物だ。マーケターは2025年も観察力と適応力を持ち続ける必要がある。これから迎える新たなメディアの時代は、マーケターに常なる緊張を迫るだろう。
Forrester