厚労省が「キミはまだ本気出してないだけ」をニート支援に選んだ理由とは
厚生労働省が「ニート」と呼ばれる若年無業者を対象に作った就業支援ポスターが、話題を呼んでいる。ポスターには、「キミはまだ本気出してないだけ。」というキャッチフレーズが、中年男性の漫画キャラクターとともに大きく描かれている。厚労省は一体、どのような意図でこのようなポスターを作成したのか。
「決して上から目線で言いたいわけではない」
「キミはまだ本気出してないだけ。」というキャッチフレーズが大きく書かれたポスターに描かれているのは、青野春秋さんの人気漫画「俺はまだ本気出してないだけ」の主人公・大黒シズオ。大黒シズオは、会社を突然辞めて漫画家を目指す、40代のフリーターだ。このポスターは昨年12月24日から、全国160カ所ある「地域若者サポートステーション」(通称:サポステ)と、全国全ての市町村で掲示されている。 厚生労働省キャリア形成支援課に話を聞くと、取材冒頭、担当者に逆に質問を投げかけられた。「国の広報って、どういうイメージをお持ちですか」。無難。穏便。無味乾燥。「そう。今まではそういったものが多かった。しかし、それではダメなのです」 「サポステ」は無業状態の若者の自立をサポートするための拠点で、2006年に設立された。若年無業者(15~34歳で就労も家事も就学もしていない人、いわゆるニート)は、全国で約60万人いるとされる。サポステは全国160カ所でさまざま相談や支援を行い、「15~39歳くらいまで」の若者の社会復帰を手助けしてきたが、最新の調査ではサポステの認知度が約13%と低い水準に留まっているという課題があった。 「本来サポステが必要な方に、情報が行き届いていないのではないかという危機感があった」と厚労省の担当者は語る。そのためには、インパクトがある広報が必要だったという。「決して上から目線で本気を出せと言いたいわけではありません。支援を必要としている方、そしてその関係者の方々に気づいてもらわないといけなかった」と説明する。