地域の「困った」を救う健康拠点の店舗で貢献 池野隆光・ウエルシアホールディングス会長
── ウエルシアホールディングス(HD)と、ツルハHDとの経営統合の協議が進んでいます。 池野 ウエルシアHDの売り上げは1.2兆円、ツルハHDは1兆円あり、ドラッグストア業界の1、2位による非常に大きな経営統合になります。少子高齢化で国内市場が縮小を続ける中、ドラッグストアがさらに成長し続けるためには、海外進出を見据えて経営規模を拡大する必要があります。海外で一定の利益を上げるには資本と時間が必要になるからです。2027年末までの統合を目指しています。一方、公正取引委員会の判断もあり、慎重に進めたいと考えています。 ── 海外展開の方針は? 池野 17年からシンガポールで店舗を展開しており、その他の東南アジア諸国での進出も検討しています。国の大小に関係なく、私たちのビジネスがその地域で役に立つと確認できればぜひ展開したい。個人的には27年末よりも早い段階でツルハHDと統合し、新しいチャレンジに一緒に取り組みたいと思っています。 ── 24年9月には、首都圏でドラッグストアを展開する「ウェルパーク」を子会社化するなど、数多くのM&A(合併・買収)を手がけました。社風が違う企業同士の融和に向けて心がけたことは? 池野 私たち小売業が相手にするのは、一般のお客様です。その意味では企業の規模の大小にかかわらず、「お客様のために何ができるのか」という基本は同じです。社風が違ったらお客様への対応が違う、ということはあり得ません。共通の目標に向けて一緒に取り組むという「心の統合」が一番大切です。一方で、M&Aで一緒になっても、規模が大きい企業のやり方が正しいということは全くありません。私自身もM&Aで一緒になった企業からたくさんの大切なことを学びました。 ── ウエルシアHDが、イオンの連結子会社となって24年11月で丸10年となりました。 池野 イオンの資本を入れることで得た効果は絶大だったと総括しています。一方、イオンから学んだ最も大切なことは「社会を支える」という考え方です。イオンが取り組んでいる海外での植樹活動や、アジアの大学生への支援などの活動はその社員を強くします。こうしたイオンの姿勢は、ドラッグストアとしても非常に重要だと考えています。