地域の「困った」を救う健康拠点の店舗で貢献 池野隆光・ウエルシアホールディングス会長
── ドラッグストア業界全体の再編をどうみていますか。 池野 自分の感覚でしかありませんが、さらに進むだろうとみています。少子高齢化は「マーケットの縮小」も意味し、ドラッグストアだけでなくスーパーやホームセンターなどあらゆる業種が今後、縮小せざるを得なくなるでしょう。その中で生き残るには経営統合して体力をつけるしかありません。業界の統合が具体的にどう進むのかはわかりません。あるいは違う業種を含むのかもしれません。 ◇介護事業を育成 ── 東京電力HDの子会社で、介護事業を手がける「東電パートナーズ」を完全子会社化し、24年10月1日に「ウエルシアパートナーズ」として出発しました。 池野 介護事業は私たちのビジネスと親和性が高く、事業の柱にする方針です。ドラッグストアという「売り場」だけでなく、ウエルシアHDの店に行けば介護の問題も同時に解決できるといったように、「健康の拠点」としての機能を拡充したい。要介護認定を受けた人に介護サービス計画書(ケアプラン)を作成するケアマネジャー(介護支援専門員)の育成も進めています。高齢者にとって介護は、自分らしく生きるためには欠かせません。「人間の尊厳」を支える介護に会社として取り組みたいと考えています。 ── 店舗の目指す方向性について「地域ナンバーワンの健康ステーション」を掲げています。 池野 介護のほか「(薬剤師が常駐して医療機関の処方箋に応じて薬を販売する)調剤併設」と「カウンセリング営業」「深夜営業」──の四つを店舗のモデルとして整備しています。一方、店舗に「ウエルカフェ」というフリースペースを作り、地域の「休息の場」や「井戸端会議の場」として活用してもらっています。自動体外式除細動器(AED)や、人工肛門や人工ぼうこうを付けている人(オストメイト)に配慮したトイレの設置も進めています。 ── 狙いは? 池野 人は誰でも病気になる可能性があり、AEDやオストメイト用トイレの設置などを通じ、社会問題を解決できる企業であることを示したいと思っています。これらを「設備投資」とは考えていません。地域の安全や安心を提供することで、そこで働く社員が誇りを持てれば「教育投資」にもなります。モノを売る、買うだけではなく、地域の「困った」を救う店舗づくりをこれからも進めます。