主要な経済指標はビットコインを上昇させた利下げに異議──景気減速を示唆し、強気派に警戒を促す
1週間前にアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が金利を0.5%引き下げたことを受け、いわゆる金融緩和策がインフレ抑制を目的とした行き過ぎた金融引き締め政策の正常化を意味するのか、あるいは差し迫った景気後退への備えなのかについて、激しい議論が交わされている。 ビットコイン(BTC)やアルトコインのような、純粋な流動性資産を含むリスク資産はFRBの決定以降、上昇しており、これは市場が今回の金利引き下げを正常化に向けた動きと認識していることを示している兆候だ。一部のアナリストは、ビットコインが6万5200ドルの抵抗線を突破すれば、上昇が加速すると予測している。 しかし、少なくとも3つの指標が今後の経済停滞を示唆しており、強気派には慎重な姿勢が求められる。おそらくFRBは、こうした指標を考慮して、過剰ともいえる大幅な利下げを実施したのだろう。
失業率の上昇
MacroMicroが追跡しているデータよると、アメリカの50州とワシントンD.C.、プエルトリコの失業率を追跡しているアメリカ世帯調査では、8月時点で57%以上の州で前月および前年同月と比較して失業率が上昇していることが明らかになった。 ほとんどの州で失業率が上昇しているという事実は、今後数カ月間に収入、個人消費、投資の減少、企業および消費者信頼感の低下のリスクが高まり、深刻な景気後退(経済縮小の四半期が連続する)とまではいかなくとも、景気減速につながる可能性があることを意味している。景気減速局面では、投資家はよりリスクの高い投資へのエクスポージャーを縮小する可能性がある。 「8月の分析によると、アメリカの57.7%の州で前月および前年同月よりも失業率が高くなったと報告されている。これは労働市場における課題の増大を示しており、より広範囲にわたる景気減速の兆候である可能性がある」とMacroMicroはXで述べた。
先行指標と遅行指標の比率
全米産業審議会(Conference Board)の景気先行指数(LEI)は8月に100.2まで落ち込み、2016年10月以来の最低値を記録した。同指数は6カ月連続で下落しており、景気後退のシグナルが発せられている。 LEIは、製造業の平均週労働時間、失業保険の平均週新規請求件数、ISM(全米供給管理協会)新規受注指数、株価、先行信用指数など、複数の指標で構成されている。この指数は、経済動向の変化や資産価格の転換点を特定するために広く利用されている。 懸念されるのは、先行指数と遅行指数の比率が0.85を下回るまで低下していることで、これは少なくとも1950年代以降で最低の数値だと、ウィズダムツリー(WisdomTree)の株式部門トップであるジェフ・ウェニガー(Jeff Weniger)氏が追跡しているデータが示している。 過去数カ月間の急落は、景気減速や景気後退の可能性を示しており、遅行指標が経済の実態に追いついている。 この比率は過去に8回、同様の暴落を経験しており、いずれも景気後退の前兆となっている。