福島県郡山市の歩み、すごろくで 100年前制作 電子版で復元、授業での活用視野に
福島県郡山市の近代化の歩みをまとめた100年前のすごろくが電子版で復元され、専用サイトで公開が始まった。市制施行を記念し、翌年の1925(大正14)年に地元出版社が作った。安積開拓や鉄道開通など明治―大正時代の地域の出来事が描かれている。和風のタッチで表情豊かな人々の様子を表現している。市の担当者は「一家だんらんの正月に、子どもから大人まで、楽しみながら郡山の歴史を学んでほしい」と期待する。郷土愛を育むため、将来的に小学校の授業での活用も視野に入れている。 市文化振興課総務管理係主任の岩淵成公(しげとも)さん(44)が2021(令和3)年11月、実家の建て替え工事に伴い資料を整理していた際に見つけた。未開封の状態で、細部の絵柄や文言が鮮明に確認できる。市が確認したところ、当時発行されたすごろくが保存されているのは、県立図書館(福島市)と国立歴史民俗博物館(千葉県)の2カ所だけだった。
見つかったタイミングが昨年の同市市制施行100周年の間近だったこともあり、多くの人に触れる機会にしたいと考えた。「貴重なすごろくを広め、昔遊びに触れてこなかった子どもたちにも楽しんでもらいたい」。岩淵さんと同課総務管理係長の遠藤敦さん(49)が中心となって試行錯誤し、画面上で遊べるすごろくゲームを考案した。 発見されたすごろくのタイトルは「郡山発達史須語録」で、盤面は縦54センチ、横78センチ。戊辰戦争で焦土と化した町の様子からスタートする。市発展の礎となった開成社による開墾着手(明治6年)、既に解体された安積郡役所の新築(明治19年)、現在も同市のシンボルの一つである公会堂の落成(大正13年)など1868(明治元)年から1925(大正14)年までの市の歴史が32マスに描かれている。開通した線路を走行する蒸気機関車に手を振る子どもなど、人々の営みを生き生きと表現している。 発行元の出版社は現在は存在しない。発行から70年以上が経過し、著作権の保護期間が過ぎていることなどから、市は公開に問題ないと判断した。市デジタルアーカイブの専用サイトから参加できる。