ロシアは核実験を再開するのか?CTBTから離脱、プーチン大統領は「準備を万全とする」よう命じた 「シベリアでやれ」「米国に分からせろ」相次ぐ強硬発言、核拡散防止体制に危機
▽相次ぐ強硬発言 ロシアは今後、実験再開に踏み切るのか。ロシア外務省不拡散・軍備管理局のウラジーミル・エルマコフ局長は10月16日、「ロシアは実験のモラトリアムを続けており、最初に行うことはない。米国が行った場合のみ、実施する」と断言したが、国内では再開すべきとの声は強い。 退役軍人で、ロシアニュースサイト「ガゼータ・ルー」や、ラジオ局「ベスチFM」の軍事問題解説員を務めるミハイル・ホダリョナク氏は10月17日のガゼータ・ルーで、ロシアの核兵器が「さびた剣」でないことを西側に分からせるために、核実験実施を検討すべきだと主張した。 同氏は昨年2月のウクライナ侵攻前、侵攻したとしてもロシア軍は簡単には勝利できないと警告する論文をロシア紙に寄稿。また、侵攻後の昨年5月には、国営テレビの人気トーク番組「60分」で、大政翼賛的発言が続く中、西側の支援を受けたウクライナを破るのは容易ではないと異例の発言をし、内外で注目を浴びた。
ホダリョナク氏はガゼータ・ルーで、ソ連時代に製造されたロシアの核弾頭が老朽化し使用期限が過ぎている一方、ロシアには交換のための新たな核物質はないと、西側で広く報道されていると指摘。 こうした西側の考えを正し、ロシアの核兵器が使用可能であることを確認するとともに、新たな核兵器を開発するためにも「核実験以外の確かな手段はない。米国が行うかどうかとは関係なく、実験実施を検討すべきだ」と主張した。 ロシア通信によると、ソ連・ロシアの核開発の中心となってきた核物理学研究施設「クルチャトフ研究所」のミハイル・コバリチュク総裁は9月28日、米国の攻撃的な姿勢に対してソ連が1961年、ノバヤゼムリャ島実験場で広島型原爆の3千倍以上の威力を持つ史上最大の水爆ツァーリボンバ(爆弾の皇帝)の実験を実施。以後、「米国はすぐに話が分かるようになった」と指摘した上で、「今こそそうした状況だ。1回だけでいい。すべてうまくいくようになる」と実験実施を提唱した。