バスケ東京五輪の星・八村塁が日本人初の快挙、全米大学トーナメント出場へ
カレッジバスケットボールの全米トップ級のチームでプレーしている日本人プレーヤーがいる。全米大学体育協会(NCAA)1部の強豪ゴンザガ大の八村塁(19)だ。 宮城・明成高で全国高校選抜優勝大会3連覇を達成。卒業後、名門、ゴンザガ大へ進んだ。殿堂入りしたユタ・ジャズの名PGだったジョン・ストックトンの出身校で、毎年のようにNBA選手を輩出、昨年もドラフト1巡目全体の11位で指名されたドマンタス・サボニスがサンダーに入団し、ドラフト外に終わったカイル・ウィルジャーがその後フリーエージェントでロケッツと契約している。また1月にBリーグのサンロッカーズ渋谷に入団した元レイカーズのロバート・サクレもゴンザガ大出身だ。 しかも、今季のレギュラーシーズンは25日の最終戦で敗れるまで、開幕29連勝を記録。数多くの名門校を押しのけて1月末から4週連続全米ナンバー1の座にランクされ、3月半ばから始まるNCAAトーナメントで全米王者を目指す。NCAA1部に所属するチームでプレーする日本人の男子選手として八村は5人目で、現役としてはジョージ・ワシントン大で活躍する渡邊雄太と2人。渡邊も8日から始まるアトランティック10のカンファレンス・トーナメントでNCAAトーナメントの出場権を争うが、2月27日付けの全米ランキングで4位につけているゴンザガ大はNCAAトーナメント出場が確実で八村がコートが立てば日本人初の快挙となる。 八村は、フレッシュマンと呼ばれる1年生で、レギュラーではなく、試合出場は勝敗がほぼ決まったあとの残り時間に限られているが、マーク・フュー監督が「彼には特別な選手になれる素質がある」と言うほど、将来の主力選手として大きな期待を受けている。 身長は2m3cmでポジションはフォワード。跳躍力があり、運動能力の高さは全米ナンバーワンになったチームにあってもひけをとらない。その迫力溢れるプレーぶりはアメリカ人にとっても魅力で、八村が速攻でゴールに向かうとダンクを期待したチームメイトや客席のファンが一斉に立ち上がるほどだ。 ベナン人の父と日本人の母のハーフだが、日本生まれの日本育ちで英語が話せないまま渡米。まだ英語を学んでいる最中の八村にとって、今季が始まる前に一つの決断があった。それは、今季を練習生(レッドシャツ)として勉学に集中し、来季に向けての準備期間とするか、それとも無理やり選手登録するかということだった。レッドシャツ扱いが珍しくない米大学バスケ界において、自信をつけるためにも今季は勉学に集中した方がいいとのアドバイスが圧倒的だったと言う。しかし八村は、出場時間が期待できないと知っていながら、あえて選手登録の道を選んだ。たとえ出場時間が少なくても、実戦から長く離れるよりは経験した方が自分にはいいと判断したからだ。 言葉の壁で理解に苦しむことはある。しかしアメリカのバスケのエリート校においてもプレーの差や戸惑いを感じることはなかった。「別にやっていて、通用しないということはないと思います。自分のプレーが通用しています」。八村ははっきりと言った。