無呼吸症の医療器具、なぜか日本だけ「重篤な健康被害ない」判断…韓国など4カ国は「最も危険」と評価していた
カナダの判断
フィリップスは親会社ロイヤル・フィリップス(本社・オランダ)のもと、世界70ヵ国以上に拠点を置き、主にヘルスケア製品や電気機器を製造販売している多国籍企業だ。 では、日本と同じくCPAPが普及している主要各国では、今回の問題に対してどのような対応を取ったのだろうか。カナダ、オーストラリア、米国の関係当局にも問い合わせた。 この3か国では、クラス分けについては日本と同じく、「重篤な健康被害や死亡の原因となりうるかどうか」を判断基準として、三段階に分類する仕組みだった。 カナダでは、自主回収の手順は保健省が『医療器具のリコール・ガイド』にまとめ、公開している。危険度の評価はリスクの程度に応じて、タイプⅠ、Ⅱ、Ⅲの三段階に分類される仕組みで、今回のフィリップスの問題は、「重篤な健康被害や死亡の原因となりうる」とするタイプⅠに分類していた。 Ⅰ~Ⅲのどのタイプに分類するのかを判断するのは製造販売元だが、「危害性の程度」「リスクにさらされている人数」「問題についての患者の認識度」など、ガイドに示された具体的な基準に沿って判断することが求められている。 カナダ保健省は製造販売元から報告を受けると、提供された情報とタイプ分類の妥当性を判断。「より高いレベルのタイプに分類すべきだと決定した場合には、見直しを求めて企業側に連絡する可能性がある」とも定めており、タイプ分けの最終的な判断と権限を、行政が握っていることを明示している。
オーストラリアの判断
オーストラリアでは、リコールの手順は保健省が『治療製品の統一リコール手順(URPTG)』にまとめ、公開している。クラス分けについてはリスクの程度に応じて、クラスⅠ、Ⅱ、Ⅲの三段階に分類する仕組みで、フィリップスの問題はやはり「重篤な健康被害や死亡の原因となりうる」とするクラスⅠに分類していた。 クラス分類はカナダに似て、明示された基準に沿って製造販売元が判断し、回収の手順をまとめた「リコール戦略」に盛り込んでオーストラリア保健省に報告する。 しかし、その判断を保健省が鵜呑みにすることはなく、最終決定の権限は行政が握っているといい、URPTGにも「当局による客観的で独立した評価によって、クラスは変更される可能性がある」と明記されている。