ALS、国内外の製薬企業が治療薬開発を急ぐ 田辺三菱は「エダラボン」経験生かす
進行を緩和する薬はあるが、根本的な治療法が確立されていない筋萎縮性側索硬化症(ALS)。国内外の製薬企業が治療薬の研究開発を急いでいる。 現在、世界でALSの治療に主に使用されているのは、ALSの進行を抑制する作用がある「リルゾール」と「エダラボン」だ。 エダラボンは、運動機能の低下を遅らせることが臨床試験で確認されており、人工呼吸器の使用を遅らせる効果が期待されている。日本の製薬大手、田辺三菱製薬が製造販売する薬で、もとは脳梗塞の治療薬として平成13年に発売され、27年に日本でALS治療薬として承認を取得した。続いて韓国と米国でも販売され、現在は世界9カ国で使われている。 エダラボンの研究開発の経験を生かそうと、田辺三菱は今も、新たなALS治療薬の研究開発を進めている。 一方、米製薬企業バイオジェン日本法人は5月21日、ALS治療薬の製造販売の承認を厚生労働省に申請したと発表した。SOD1と呼ばれる遺伝子に変異のある患者を対象とした薬で患者の約2~3%を占める。 米食品医薬品局(FDA)は昨年4月に迅速承認している。バイオジェンによると、臨床試験では神経の損傷を示す血中物質が減少していることが確認されている。