【100歳の100の知恵】下り坂になったからこそ、見えるものもある。ひとりの寂しさ、肉体の衰え、今の私が見なくてはいけない風景を全身で味わって
101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。 * * * * * * * <100歳の100の知恵 84> ◆『衰えていく自分をうまくあやし、下り坂の風景を味わう』 人間、100年も生きていると、身体のあちこちにガタがきます。生来丈夫だった私も、ここ数年、身体の不如意に悩まされています。 生活を手伝ってくれる身内はいるものの、ひとりの寂しさを感じることもあるし、肉体の衰えがまったくつらくないかといえば嘘になります。 ただ、これは今の私が見なくてはいけない風景だと思って、自分でうまくあやすようにしています。 人生の上り坂のときは、若さゆえの不寛容もあるのでしょう。人に対しても「この人、どうしてこれができないのかしら」などと思ったりもしました。 今は、人にはそれぞれの体力があるし、できることの量も一人ひとり違うのだと理解できます。 上り坂の風景もなかなかいいものですが、下り坂になったからこそ、見えるものもあります。それを今は、全身で味わっています。
吉沢久子
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