フリー走行での地道な努力~牧野任祐がSF初優勝を手繰り寄せた瞬間~
2019年7月14日、雨の富士スピードウェイ。力強い走りでレースを制したのはアレックス・パロウだった。この時、牧野は10位。初ポールポジションは自身の方が先で注目度も高かったが、1勝目を先に奪ったのはチームメイトだった。
2020年12月6日、冬の鈴鹿サーキット。この年はコロナ禍に伴うスケジュール変更で、いつもより遅い鈴鹿ラウンドで、この時では珍しいダブルヘッダースケジュールとなった。その2戦目でチャンピオンを争うライバルがトラブルで脱落するなか、トップに立った大湯都史樹が涙の初優勝。この時、チームメイトだった牧野は8位に終わった。しかも、この直後に牧野は髄膜炎を発症し、翌年のシーズン中盤まで欠場を余儀なくされた。
その髄膜炎から復帰2戦目のレースとなったのが、2021年6月20日のスポーツランドSUGO。このレースを制したのが、同時期にヨーロッパでレースをしていた経験のある福住仁嶺だ。この時の牧野は力強い走りをみせるも5位にとどまり、チームメイトである福住の初優勝を祝福した。
そして、牧野が語る「一番辛かった瞬間」だという2023年10月29日。シーズン最終戦を制したのは、当時ルーキードライバーでだった太田格之進だ。この年の第6戦富士で自身2度目のポールポジションを獲得するも、決勝ではリアム・ローソンに逆転負けを喫し、悔しい2位フィニッシュ。“次こそは”と臨んだ第7戦もてぎでは、スタート直後のアクシデントに巻き込まれ、宙を舞う大クラッシュを喫した。幸い大きな怪我はなかったものの、マシンは全損状態でモノコックを交換して最終大会に臨むこととなり、手探り状態のなかで10位フィニッシュ。ちなみに前日の第8戦も太田にスタートで逆転され、4位と表彰台を逃した。この時も太田を祝福するコメントをしつつも、その表情は悔しさに満ち溢れていた。
「とにかく落ち込むだけ落ち込みました。でも、次のレースが来ると色々と考えないといけないことも出てくるので、そこで切り替えないといけなくなります。それまで自分から何かをするわけではなく、ひたすら落ち込みました」
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