フリー走行での地道な努力~牧野任祐がSF初優勝を手繰り寄せた瞬間~
オートポリスは、1コーナー(ナカヤマ精密コーナー)に対して、ポールポジションのグリッドがイン側にあるレイアウトとなっている。それでも、通常の走行ラインはギリギリまでイン側(奇数グリッド列側)を走って、コーナー手前でアウト側に寄っていくという流れになる。
そのため、他のサーキットと同様に奇数グリッド列側がメインの走行ラインとなってグリップ力も上がる一方、偶数列側のラインは誰も通らないため路面が埃っぽい。これで決勝スタートを迎えるとスタートダッシュに差が生じる可能性もある。そこに目をつけた牧野は、ひたすら2番グリッドを通るラインで走り続け、決勝レースに備えた。それがスタートで結果となって現れた。
ポールポジションの岩佐は動き出しの反応は良かったものの、そこからホイールスピンがあり加速が鈍った。その一方で牧野はしっかりとダッシュを決めて岩佐に並ぶと、オーバーテイクシステムでパワーアップして、ホールショットを奪ったのだ。
スタートで前に立てたことがひとつのターニングポイントだったと語る牧野。そこから着実に後続との差を広げていくが、真後ろを走る岩佐と10周目にピットインしてアンダーカットを狙う山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)とのギャップを見ながらの走行。24周目にピットインを決断した。
「前にさえ出られれば絶対こっちに分があるということは分かっていました。それも含めて本当に良いタイミングでピットに呼んでもらえたと思います」と牧野。僅差ではあったが山本の前に復帰し、トップを死守。そこからフレッシュタイヤの利点を活かし、一気にギャップを広げていった。
終盤、2番手に浮上した岩佐がペースを上げて追ってくるが「セーフティカーのリスクもあったのでタイヤをセーブしていました」と、牧野も冷静に対応。最後まで確実にトップの座を守り抜き、悲願のトップチェッカーを受けた。
参戦6年目で掴んだ初勝利に、ウイニングランでは大号泣しながら「アレックスが勝って、都史樹が勝って、仁嶺も勝って、格之進も勝って……」と、過去に勝利していったチームメイトの名前を挙げた牧野。レース直後にも関わらず、それだけドライバーたちの名前が鮮明に出てくるほど、彼にとっては苦い思い出だった。
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