仕事の場で「ご理解いただけましたか」と言ってはいけない…正しくは?【ビジネスマナー常識チェック】
【それ間違いかも?ビジネスマナー常識チェック】 敬語の基本編(9) ◇ ◇ ◇ 新入社員必読!「今から行きます」謙譲語に変換したらどうなる? 前回はビジネスの場や目上の方に対して使う改まった表現、ビジネス敬語についてお伝えしました。ふだんの生活ではそこまで気にする必要はないけれど、仕事の場では相手に敬意を示す丁寧な表現が求められます。 社会人になると、言葉の使い方ひとつで相手からの信頼を得たり、反対に信頼を失ってしまうこともあります。そのため、文法的な正しさだけでなく、その言葉自体が持つ印象と影響を考え、言葉を選ぶことが大切です。 今回は、ビジネスの場で気を付けたい表現を見ていきます。 ▼上から目線の言葉 「私がお教えいたします」「ご理解いただけましたか」「おわかりになりますか」 これらの言葉は敬語としては正しい表現ですが、相手によっては不快に感じる可能性があります。 例えば「教える」という表現。この「教える」という言葉自体に上位者が下位者に対して行うものという印象があるため、お客さまや仕事相手に対して使うと先方は見下されたように感じてしまう可能性があります。 このような場合は「教える」を、「説明する」「伝える」に変えると誰に対して使っても問題ない配慮ある表現になります。 「私がお教えいたします」→「私がご説明いたします」「私がお伝えいたします」 同じように、「ご理解いただけましたか」や「おわかりになりますか」という表現も、言われた方は、自分の理解力を問われているように感じて不快に思うかもしれません。このようなときは、相手が理解できたかどうかを問うのではなく、内容はわかりにくくなかったか、不明点はなかったかなど、自分の説明の仕方に焦点をあてた問いかけにするといいでしょう。 「ご理解いただけましたか」「おわかりになりますか」→「ご不明な点はございませんでしょうか」「何かご質問はありませんか」 ▼「ご苦労さま」と「お疲れさま」 「ご苦労さま」は、部下ら目下の人にかけるねぎらいの言葉です。そのため、目上の人に対して使うのは望ましくありません。一方で「お疲れさま」というのもねぎらいの言葉ではありますが、上司や目上の人が外回りから戻ってきたときなどに「お疲れさまでした」「お疲れさまでございました」と声をかけるのは問題ないとされています。 ▼「お世話さまです」 宅配便の配達員ら出入りの業者の人に対して「お世話さまです」と言うのは問題ありませんが、目上の人や社外の人には「お世話になっております」が適切です。 (金森たかこ/マナー講師)