ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダの座敷童との戦いと、読書の秋【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#54】
なんとまぁマニアックなお買い物だこと!
ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけての大規模修復後、走り出したエンジン編集部員ウエダによる自腹散財リポート。今回は怪しい動きをするメーターと、またしてもオークション・サイトで手に入れた部品などについて。 【写真19枚】実は楽しいパーツ探し! オークションで手に入れたシトロエン・エグザンティアのメーターの写真を見る ◆2つの秋のお買い物 前回ご報告した復帰直後のガソリン・スタンドで起きた事件を除けば、この秋は平和そのものだった。エグザンティアは順調に走り続け、積算計の数字はすぐに18万kmを突破した。 ただ、秋から冬にかけて気温が下がるのと同時に、なぜか速度計と水温計以外のメーターの針の動きが怪しくなり、突然動きが止まってしまうという症状が出はじめた……。 リポート車にはまるで座敷童でも潜んでいるようだ。これまでもメーター内部からは2000rpmあたりで路面状況によってカリカリと不思議な音が出たり、速度計が60km/hで固定されてしまったりもしたけれど、こんなふうに針が妙な動きをすることはなかった。 発症時を記したメモを見返してみると、リポート車に乗らず、2日以上放置した時だけ現れるようだった。始動時からぴくりとも針が動かず、走り出してしばらくすると突如動き出すこともあれば、走行中に突然針がまとめて下限へいっきに振れることもある。 メーター・ユニットは距離を重ねたエグザンティアの鬼門の1つで、内部回路のハンダが経年劣化で剥がれ、いろいろと悪さをする事例がネット上で報告されている。とはいえリポート車はすでに速度計部分などをアクティバから移植し、内部点検も済ませている。短期間にそう何度もおかしくなることは考えにくい。 しかし半年後には車検が迫っていた。万一メーターが完全に死んでしまったりしたら、部品探しでまた大変だ。そこで僕は取り急ぎ、某オークション・サイトで出品されていたメーター・ユニットを入手しておくことにした。 出品者は四国からシトロエンやプジョー、フィアットなどの新品部品を扱っているようだが、このときはたまたま中古のエグザンティア用メーターを出品していた。幸い他に入札者はなく、一発で落札である。 極初期のエグザンティアはユニットの裏側で速度計とワイヤー・ケーブルが接続されていたが、リポート車の年代は電子式となり、前側に4カ所あるカプラーを介し配線を接続するだけになっている。入手できたのは右端の油温計のない“SX”用で、リポート車と同じ“V-SX”グレード用ではなかった。走行8万kmほどの解体車から取り外されたようだ。到着した部品を確認すると、背面にわずかな汚れがあったが、心配していた透明のプラスチック・カバー部にはくもりや目立つ傷もなく、状態はとても良かった。 ・前期型エグザンティアSX用・中古メーター・ユニット 6,800円 (※送料1,200円) ところがまさにこの部品到着の翌日以降、メーターの針が怪しくなる症状は、一切出なくなってしまったのである! 数日間乗らなくとも、何事もなかったかのように針はちゃんと動くのだ。その後もずっと様子を見ているが、再発もしない。うーむ、いったいなんだったんだ……。結局前回のホイール・リムのガリ傷とともに、メーターの不調についても修復作業は保留となってしまった。 ◆書き込みが面白い もう1つ手に入れたのは、同じくオークション・サイトで出品されていたシトロエン・エグザンティア用のパーツ・リスト、しかもまさにリポート車と同じ年代の、1996年7月当時のものである。 これはかつてのシトロエンの輸入元、新西武自動車販売の発行物で、ディーラーや販売店などで使うために作られたようだ。オークション・サイトの説明ではページ数などの記載はなかったけれど、到着したものを見ると、背の高さは15mmくらいある、けっこう立派なものだった。 ・新西武自動車販売発行エグザンティア用・純正パーツ・リスト 11,111円 (※送料860円) さっそく中身に目を通してみると、エンジンと変速機、吸排気系などエンジン周辺、ハイドローリック回路とドライブ・トレイン、ブレーキと変速機とリア・アクスル、電装系、エンジン関係そのほか、車体、内装という具合に8つの章に分かれており、わかりやすいイラストレーションとともに、部品番号と英語の部品名が記されていた。 嬉しかったのはいちばん最初のページに、車体のカラー・コードやエンジンやトランスミッションの形式、内外装色の組み合わせなどがしっかりと紹介されていたこと。1996年モデルの説明として、リポート車のV-SXグレードの内装トリムとカーペットの色は、どの外装色と組み合わせられていたかが、しっかり書いてあった。 また面白かったのは、あちこちにあった前所有者による書き込みだ。古書として考えれば書き込みがあるのは大きな減額対象だけど、これはむしろありがたいし、貴重な情報である。 例えばブレーキ関連のところには「鳴き止め対策品は425156」なんて文字が追加されていた。エグザンティアはそれまでシトロエンに縁がなかった顧客をかなり引き込むことに成功したクルマだけれど、きっと数多く走り回っていた頃は、国産車感覚の新たなオーナーからの、ブレーキ鳴きへの苦情も多かったのかもしれない。 ほかにも、きっと当時の発注時に判明したのだろう。パーツ番号が上から線を引いて新たなものに修正されていたり、スチールホイールの紹介がされているところには鉛筆で「14,000」とか「10,000」「11,000」というメモ書きも残されていた。当時はこれくらいで新品を購入できたのだ。……そんなこんなが、少々色あせ、ところどころ破れたり汚れたりしているパーツ・リストからは読み解けるのである。 部品番号が変更されてしまったり、96年モデル以降はエンジンの種類も増えたので、どんどんリストはアップデートもされていったことだろう。たぶんいま、このパーツ・リストや部品番号が役に立つ、ということはほぼない。とはいえイラストと番号を眺めながら、今後必要になりそうなパーツ番号に付箋を貼り、リスト・アップしておけば、ネットでの検索などに活かすことはできる。 こうしてこのパーツ・リストは、秋の夜長の枕元のお供となったのだった。 さて、オーナーがメーター・ユニットを購入したり、こうしてリストを片手に物欲まみれになっているいっぽう、エグザンティアはどうしていたかといえば、秋から年末までは基本的に元気そのもの。僕や家族、そして友人たちを様々なところへ連れて行ってくれたのである。 さて次回は、この友人たちとのショート・トリップや、エグザンティアやXM、BXなどハイドローリック・シトロエン乗りが恐れる“ボンネット突き上げ病”、いわゆるアッパーマウント抜けの対策として、いよいよ海外に目を向けたことなどをご報告する。 ■CITROEN XANTIA V-SX シトロエン・エグザンティアV-SX 購入価格 7万円(板金を含む2023年11月時点までの支払い総額は278万7233円) 導入時期 2021年6月 走行距離 18万1647km(購入時15万8970km) 文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部) (ENGINEWEBオリジナル)
ENGINE編集部
【関連記事】
- ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダの悲しい自爆のガリ傷事件と、予備のホイール探し【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#53】
- 待っているのは地獄か天国か? エンジン編集部員がちょっと古いシトロエン、エグザンティアを購入!【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#1】
- ラテン車好き建築家、愛車遍歴と家づくりを語る|廣部剛司さん×シトロエンC3、中佐昭夫さん×アルファロメオ75QV編
- ミドシップ・スポーツカーの3台持ち! レプリカのランチア・ストラトスとポルシェ914とデ・トマソ・パンテーラ&猫も22匹います!
- 窓がない、と思ったら大間違い! なんと家の中に家がある!? 光と風が吹き抜ける驚きのアイディア住宅