《三菱UFJ貸金庫事件》の発覚後、メガバンク行員たちの顔が青ざめたワケ…「管理体制はどこも似たり寄ったり」
本当は貸金庫をやめたい
三菱UFJ銀行の元行員が銀行業の信頼を失墜させたのは間違いない。今回の事件がトリガーとなり、各銀行では“貸金庫不要論”が高まりそうだ。 「どこも貸金庫サービスから撤退したいのが正直なところでしょう。基本的に銀行は駅近の建物など集客力の高い場所にテナントとして入居する装置産業。限られたスペースを効率的にデザインして営業しています。 その点、貸金庫室は設備が占有する面積がかなり大きいので、大型店舗にしか設置できません。全自動型の貸金庫ともなれば筐体が格納されるバックスペースや自走させるベルトコンベアなどにスペースも食われます。キャパシティにもよりますが、年間800万円程度の収入にしかならないところもある。そこから高い保守点検費を差し引くと、果たしてやっている意味があるのか疑問です。 各メガバンクは今後、大きなコストが発生している大型店舗の撤退を進めつつ、ショッピングモールや駅ナカなどのより集客力の高い場所に小型店舗を積極展開していく方針です。地銀もこの動きに追随するはず。そんな軽量店舗がスタンダードになったら貸金庫サービスを継続するのは難しい。近い将来、このサービスから撤退してもおかしくないでしょう」(同前) 銀行ビジネスの根幹を揺るがした元行員の罪は大きい。一方で世間からは「これだけの大事件を起こしておきながらなぜ名前が公表されないのか」といった声も上がる。 「顧客の財産に手をつければ一発アウトということぐらい銀行員ならわかっていたはず。それなのになぜこんな、とんでもないことをしてしまったのか。同じ業界に身を置く一人として、元行員が犯罪に手を染めてしまった背景に興味がないと言ったら嘘になります。ただ、実名が公表されてしまったら、どうなってしまうのでしょう…」(三ツ橋さん) はたして元行員の実名は公表されるのか。 つづく記事〈《三菱UFJ貸金庫事件》なぜ犯人の名前は公表されないのか…元警察官僚が語った「理由」〉では、専門家が実名公表をめぐる裏側を詳しく解説する。
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