相手が困惑する質問の典型例「事実+どう思います?」だが…会話が一気に進展する〈チョイ足し〉すべき一言【カウンセラーが解説】
質問が下手な人はしばしば「何を答えたらいいの!?」と相手が迷うような意図の見えない質問をしがち。しかし、あるひとことをさしはさむだけで、相手とのコミュニケーションは一気にスムーズになります。※本連載は桐生稔氏の著書『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。 【マンガ】精神科医が「日本に精神病患者がもっと増えればいい」と願うワケ
「何を答えたらいいのか…」曖昧すぎる質問に困惑
三流は、意見を聞く耳を持たず、 二流は、「〇〇についてどう思う?」と質問し、 一流は、どうやって質問する? 「日経平均株価がバブル後、最高値を更新しました。どう思います?」 急にこんな質問をされたら困りませんか? 「どうって、何が??」と思ってしまいそうです。 普段生活をしていて日経平均について聞かれることはあまりないと思いますが、アバウトな質問自体は、日常生活にもあふれています。 「今度の新企画、いい感じで進んでる?」「いまのチームどんな感じ?」「今回の運用変更、どう思う?」 質問が曖昧すぎていて、何を答えたらいいかわかりませんよね。 「やぁ、元気?」といった挨拶程度の会話ならいいですが、相手の意見をしっかり聞きたいときは、相手が答えやすいようにお膳立てをする必要があります。 先ほどの日経平均の話題。話題としては難しいテーマではありますが、回答のサンプルを入れてから質問したらどうでしょう? 「日経平均株価がバブル後、最高値を更新しました。株価が上がれば、会社の価値が上がり、優秀な人材が採用できるようになると思いますが、どう思います?」 上の句「日経平均株価が」と、下の句「どう思います?」は冒頭と一緒ですが、間に一つの例を入れました。 答え方は、「そうですね」なのか「そうとは言い切れません」なのか、どちらでもいいと思います。 ◆答えの方向性が見えると、人は意見が言いやすくなる お伝えしたいことは、「アバウトな質問でも、一つ具体例を差し込むと答える方向性が見えてくる」ということ。 よく会議でもありませんか。最初は誰も発言しないのに、一度誰かが発言するとそこから雪崩を打ったかのように意見が出始めることが。 答えの方向性が見えると人は安心して意見が言いやすくなるんですね。 相手の意見をしっかり聞きたいときこそ、具体例や感想をアドオンしてから質問すると、相手は答えやすくなります。 「今度の新企画、すごく面白く仕上がっているようだけど、いい感じで進んでる?」 「いまのチーム、すごい活気があるように見えるんだけど、どんな感じ?」 「今回の運用変更、工数がかかりすぎると思うんだけど、どう思う?」 こういったワンフレーズを差し込むのは、あくまでも自分の考えを先出しして従わせることが目的ではありません。相手が答えやすいように回答の方向性を示すことです。 質問に答えるということは、相手はリスクを抱えます。 「何を答えたらいいだろう……」「変なこと言って怒られないかな……」と心配することもあります。時にはうまく答えられなかった自分を蔑むことだってあります。 質問する方はまったく気にしていませんが、質問に答える方は一大事です。 相手の意見が知りたいなら、相手が意見を言いやすい土壌をつくるのもまた愛情の一つです。 【Road to Executive】 一流は、一つサンプルを伝えてから質問する ★回答の方向性を示すことで答えるリスクを下げる 桐生 稔 株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役 日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー 日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー 一般社団法人日本声診断協会音声心理士
桐生 稔