小学生に“四球出すな”は「味方が敵になる」 新球団で登竜門へ…元ドラ1が育む“将来価値”
パワー野球の影響を懸念…細かい野球を知って将来的に価値のある選手に
現代野球の“風潮”の、少年野球界への影響にも中村監督は懸念を示す。打者を圧倒する豪速球、一発で勝負を決めるホームラン……。パワー野球は魅力的だが、小中学生の段階でそれらを追い求めてしまうと、将来的な引き出しは作れない。「走塁などの細かい部分を早いうちに知っておけば、逆に体のレベルが上がっていった時に価値のある選手になれます」。高校以降に進んだ時に壁に阻まれないよう、“考える力”の重要性も説いている。 海外球界での経験は野球振興への学びにもなった。オーストラリアでは子どもたちへの野球の入り口を広げるために、できるだけハードルを下げる工夫をしていた。「いきなりキャッチボールをしたり、動くボールを打ったりするのは難しい。まずは『思い切り遠くまで投げてみよう』、止まっているボールを『思い切り打ってみよう』と、簡単なところから楽しさを伝えることが大事だと知りました」。 くふうハヤテはトップチームもジュニアも、まだ発足したばかり。それだけに野球を通した地域振興にもさまざまな可能性を持つし、NPBジュニア出場は1つのステップとなるはずだ。「負けて気持ちいいよりも、勝ってしんどい野球を」。“プロの登竜門”と呼ばれる大舞台で、将来につなげる勝利を16人の精鋭たちとつかみ取る。
高橋幸司 / Koji Takahashi